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平成23年度の森林・林業の主要な施策

1.森林・林業の現状と課題

                                                          

本県の森林面積は243千ヘクタールで県土の約6割を占め、スギ・ヒノキの民有人工林面積は89千ヘクタールに及んでいます。
本県は、急峻な地形と脆弱な地質が多く、4千kmに及ぶ海岸線を有しており、水源かん養や山地災害の防止をはじめ、海洋資源を保全、さらに近年は地球温暖化防止に資する二酸化炭素吸収機能など、森林に対する県民の期待と要請はさらに多様化、高度化しています。

 しかしながら、木材価格の低迷や整備費用の高騰による林業採算性の悪化は、森林所有者の経営意欲の減退と担い手の減少を招き、管理不十分な森林が増加し、これまで林業経営により保たれてきた森林の多様な公益的機能の低下が危惧されています。

 このような中、国においては、平成21(2009)年12月に、我が国の森林・林業を再生する指針となる「森林・林業再生プラン」が策定され、「森林の有する多面的機能の持続的発揮」「林業・木材産業の地域資源創造型産業の再生」「木材利用・エネルギー利用拡大による森林・林業の低炭素社会への貢献」の3つの基本理念のもと、木材などの森林資源を最大限に活用し、雇用・環境にも貢献するよう、我が国の社会構造をコンクリート社会から木の社会へ転換することを目指し、10年後の木材自給率50%以上を目標として、効率的かつ安定的な林業経営の基盤づくりを進めるとともに、木材の安定供給と利用に必要な体制を構築することとしています。

 このため、林業の再生に向けた生産性向上の取組が重要との観点から、森林施業の集約化推進を図り、高性能林業機械を適切に配置した作業システムの改善と機械導入の前提となる路網整備を進め、併せて「日本型フォレスター」や「森林施業プランナー」をはじめとする技術者等の人材育成に取組むこととしていることから、県においても、作業路の開設・高性能林業機械の導入・林産技術者の養成等による素材生産コストの縮減を図りながら、フォレスターや森林施業プランナー等の人材を育成し、森林組合等林業事業体による施業の集約化を推進する必要があります。

 また、平成22(2010)年5月に制定された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」に即して、平成23(2011)年4月「長崎県公共建築物等木材利用促進方針」を策定し、木材利用をこれまで以上に推進することとしています。
 あわせて、近年は、局地的な豪雨が頻発する傾向にあり甚大な山地災害が発生しやすい状況にあることから、効率的、効果的な治山施設の整備や災害の情報提供等を一体的に進め地域の安全性の向上を図っていきます。

 森林環境税を財源とする「ながさき森林環境保全事業」は、平成19年度からスタートし、23年度が当初期間の最終年となるため、ながさき水源の森などの森林整備をはじめ、目標の達成に向けた取組みを推進するとともに、5ヵ年の実績を評価・検証して、幅広く県民や県議会へお示しして意見など伺いながら、次期森林環境税の方向性について検討していくこととします。


                                                    

2.基本目標と施策

                

平成23年度からスタートする「長崎県総合計画」及び「ながさき農林業・農山村活性化計画」の実行プランとして策定した「ながさき森林づくり推進プラン」の基本目標「林業再生に向けた取り組みの推進」と「多様で健全な森林の整備・保全の推進」により、安全で安心な県民生活を確保するとともに、地域の活性化に向けた取り組みを推進します。
特にここ10年間については
 1.施業集約化・低コスト化による利用間伐の推進
 2.県産材利用拡大に向けた取り組みの強化
を重点課題とし、23年度は
 ○ 森林整備面積3,870ヘクタール
 ○ 利用間伐面積1,150ヘクタール
を目標として、林業関係者、関連産業、関係機関、市町と連携しながら、具体的には以下に取り組んでいくこととしています。
                          

(1)林業事業体の強化・育成

保有山林面積が小さい森林所有者が多数を占める本県において、森林を適正に管理し、持続可能な森林経営を行っていくには林業事業体の役割が重要であり、特に森林所有者の協同組織である森林組合については経営基盤の強化、意識改革を促す必要があります。また、県産材を増産していく上において、認定事業体の育成及び新規事業体の参入を促進します。  

1)林業再生の中核となる森林組合の育成

自ら森林の経営・管理ができない森林所有者を取りまとめ、地域の森林管理・経営の主体としての役割を発揮する森林組合を育成・支援します。
  ○合併後の森林組合数(組合): 10(H22)→ 8(H27) 

2)認定事業体の育成及び支援体制の強化

現在の認定事業体の制度を見直し、メリットが明確になるような制度とすることで、意欲ある認定事業体を育成します。
  ○提案型施業を実施する林業認定事業体数(事業体): 7(H21)→ 9(H23)

3)新規事業体の参入促進

意欲を持って新規に参入しようとする事業体に対し、森林組合、素材生産業者等との連携を図りながら支援します。
  ○新規参入事業体数(累計事業体): 2(H21)→ 4(H23)

(2)生産性の高い林業の推進 

森林資源を利用しながら、その機能を持続的に発揮させていくためには、確かな経営計画に基づく採算の取れる森林経営を行なう必要があります。そのためには、施業の集約化を進めつつ、路網の整備、高性能林業機械の導入などによる低コスト化をさらに進めます。

1)森林経営計画の策定

森林施業の集約化による森林経営を推進するため、森林所有者と林業事業体との間で長期受委託契約の締結を促進し、計画策定と施業の実施を一体的に取組むことができる体制づくりを推進します。また、目標林型に基づく持続可能な森林の整備や生産性の向上による林業再生のために、森林施業プランナーを始めとした人材育成と計画的かつ体系的な取組みを推進します。
  ○森林施業プランナー数(人): 7(H21)→ 18(H23)
  ○林業事業体作業員数(人): 266(H21)→ 300(H23)
  ○森林経営計画の策定区域面積(ha): 0 (H23)→ 56,300(H27)

2)効率的な作業システムと路網による低コスト化

地域に合った路網の整備と効率的な作業システムを確立することで、搬出コストの縮減、木材の生産性を向上させ、県産材の安定供給を推進し木材自給率を向上させます。
   ○路網整備延長(km/年): 147(H21)→ 200(H27)
   ○高性能林業機械(台) : 41(H22)→ 46(H23)
   ○木材生産性(m3/人・日) : 2.5(H21)→ 3.0(H23)

3)持続可能な森林資源の造成

森林資源が利用期を迎え、利用間伐による木材生産を進める一方、将来に渡って森林資源の適正な維持と保全を図るため、持続可能な森林資源を造成します。
   ○整備された森林面積(ha): 39,000(H21)→ 49,500(H27)
   ○利用間伐面積(ha) : 904(H21)→ 1,150(H23)
   ○素材生産量(針葉樹)(千m3): 35(H21)→ 60(H27)

4)森林情報の共有化

森林経営計画の策定、集約化施業を推進していくため、森林に関する情報を一元化させた森林GISが広く活用できるよう環境整備を推進します。
   ○GPS測量等で座標が確定した森林(ha): 3,000(H22)→ 13,000(H23)

(3)林産物の利用拡大

県内で生産された木材をより高く売っていくためには、契約販売等を行っていく一方で、県内での加工、利用についても検討していく必要があります。また、木質バイオマスの利用を拡大することにより、未利用森林資源の有効活用を図り、地球温暖化防止に貢献していく必要があります。さらに、地域の特性を活かした特用林産物の生産を拡大することとあわせて、森林所有者へ利益を還元していきます。

1)新たな販路・流通による需要拡大

計画的かつ安定的に供給される木材を最大限利用し、森林所有者等へその利益を還流させていくため、様々な分野で木材利用の拡大を図ります。木材利用については、地球温暖化防止機能を最大限に発揮させる観点から、長期にわたって炭素を固定させる建築物等への製材利用から化石燃料を代替するエネルギー利用まで多段階利用を推進します。
  ○木材自給率(%): 15(H21)→ 24(H27)
  ○新たな流通体系への取組数(取組): 2(H22)→ 5(H27)

2)木質バイオマスの利用促進

火力発電所での混焼利用など木質バイオマスのエネルギー利用を推進するとともに、チップの多角的利用や、木材を原料としたバイオメタノール、バイオガス等の新たな利用を推進します。
  ○木質バイオマスエネルギー利用施設数(施設): 2(H22)→ 4(H23)

3)安全・安心な特用林産物の生産拡大支援

安全・安心な特用林産物の供給に向けた体制整備を進めます。
  ○乾しいたけ生産量(t): 80(H22)→ 100(H23)
  ○菌床しいたけ生産量(t): 3,400(H22)→ 3,500(H23)
  ○つばき油生産量(キロリットル): 30(H22)→ 18(H23)

(4)くらしを守る森林づくり

本県の地形は急峻で脆弱な地質が多く、台風や集中豪雨により毎年災害が発生しているため、山地災害の防止を目指した森林の整備や災害の復旧を計画的に推進し、県民が安全で住みよい生活環境をつくる必要があります。また、河川が短くかつ急流で雨水が直ちに海に流出しやすいなど、利水上きわめて不利な条件にあることから、良質な水の安定的確保と併せて海洋環境の保全に配慮した森林整備を進めます。

1)安全なくらしの確保

多発する山地災害の復旧・予防のため、その地域の特性に応じた治山施設の整備と森林の整備を一体となって実施します。公表している山地災害危険地区の地図情報を活用し、ハザードマップの作成、警戒避難体制整備のため市町と連携を図ります。また、離島・半島が多く海に囲まれた本県では、防風・防潮効果の高い松林の保全が強く求められるとともに、野生鳥獣が原因の森林被害による森林所有者の経営意欲の減退や森林の荒廃を防ぐために、適切な森林保護対策を実施します。
  ○山地災害危険地区着手数(箇所): 429(H22)→ 444(H23)

2)森・水・海の保全

森林の無断伐採・転用を防止するとともに、公益的機能の高い森林については、その機能を持続的に発揮させるため保安林の指定を進めます。良質な水を安定的に確保するため、県内各地で指定されている「ながさき水源の森」を中心に保全・整備を推進します。また、海に囲まれた本県の特徴を考慮し、海洋環境に配慮した森林整備を推進します。
  ○保安林の指定面積(ha): 48,400(H22)→ 48,750(H23)

(5)くらしに潤いを与える森林づくり

健全な森林は私たちの心と体を癒してくれます。緑豊かな生活や余暇環境を保全、創造するために多様な樹種・林相からなる森林を、森林生態系の保全を図りながら整備していく必要があります。また、森林や環境に対する関心が高まる中、緑化意識の醸成を進めるとともに、多くの県民が参加できる県民参加の森林づくりを推進します。

1)環境重視の森林づくりの推進

森林のもつ多面的機能が維持的に発揮できるよう、持続的な森林経営のもと、多様で健全な森林づくりを推進します。
  ○里山保全に取組む集落数(集落): 0(H23)→ 10(H27)

2)県民参加の森林づくりの推進

森林に対する関心や緑を守り育てる心を県民一人一人に定着させ、誰もが森林ボランティア活動に参加できるようタイムリーな情報を発信していきます。また、森林ボランティア支援センターを通じて、森林ボランティア団体の活動を支援します。
  ○森林ボランティア活動参加者数(人): 2,877(H22)→ 4,200(H23)
  ○企業の森協定締結社数(件): 2(H22)→ 10(H27)

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