■農産園芸研究部門 − 茶業研究室

■所在: 〒859-3801 東彼杵郡東彼杵町中尾郷1414  TEL(0957)46-0033 / FAX46-0875
■職員数: 研究4

茶業研究室では、約2.7ヘクタールの試験用茶園と、1時間に生葉約240kgを処理・加工できる製茶工場を備え、 長崎県で生産する地域特産茶種「蒸し製玉緑茶」の高品質安定生産に向け、環境保全型や省力化の栽培法や品種比較、 加工技術改善の試験を行っています。さらに、最近注目をされている機能性成分であるカテキンを多く含む三番茶を 使った機能性発酵茶の新製品開発を行っています。

(約3.1MB)(2011年4月版)

研究課題

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現在取り組んでいる研究課題の紹介

1.茶葉とビワ葉を原料とした高機能発酵茶の新機能解明と実用化に向けた研究(H17年〜)

(1) 背景

健康志向の高まりの中、食品のもつ様々な機能性を高めた健康食品素材を開発することは、大きな需要が期待されます。 三番茶葉に多いカテキンを有効活用した新製品を開発します。

(2) 目的

本県と長崎大学、長崎県立大学、九州大学との共同で、開発した「高機能発酵茶」の複数の機能性を明らかにし、新製品の競争力を高めます。

(3) 内容

開発した「高機能発酵茶(ビワ混合発酵茶)」のコレステロール低下作用、体脂肪蓄積抑制作用の機能成分の特定と作用メカニズムを動物実験等で 解明します。また、より優れた商品とするため、味や香りに優れた商品開発に取組みます。

(4) これまでの成果

開発した世界初の製法による「高機能発酵茶(ビワ混合発酵茶)」は、動物試験、ヒト試験で、血糖値上昇抑制作用、中性脂肪低下作用、 コレステロール作用、体脂肪蓄積抑制作用が確認されています。ビワ混合発酵茶は、平成21年10月にティーバッグの形態で「ワンダーリーフ」 という商品名で発売が開始されました。また、現在飲料メーカーとともに、トクホ取得に向けた商品化に共同で取組んでいます。

参考資料

高機能発酵茶に関する情報 ( 高機能発酵茶のページにジャンプ )

 

2.多用途茶葉大量生産技術と簡易製茶技術の確立(H19〜23年)

(1) 背景

急須で飲む”リーフ茶”の需要は停滞傾向ですが、国民の健康志向の高まりとともに、ペットボトル等のドリンク茶や、 機能性を用いた保健飲料などの原料として多く活用されるようになりました。

(2) 目的

原料用の茶葉は単価が低いため、より低コストで、大量に生産、製造する技術が必要となってきます。 しかし、茶業経営の柱は一番茶であり、より高品質な一番茶を製造することが茶業経営にとって最も大切なことです。 そこで、一番茶の収量や品質を維持しつつ、二・三番茶を大量に収穫する技術の開発に取組みます。

(3) 内容

二・三番茶の生育期間を延長し、収穫量を確保する試験を行っています。しかし、収穫量を増やすと品質は低下し、 翌年の一番茶の収穫量や品質に影響を与える心配があります。そこで、二・三番茶の収穫時期の検討や、品質・収穫量を 維持・向上させるための肥料のやり方などを試験しています。また、収穫時期を見極めるため、茶園での芽の状況から、 収穫量や品質を見極めるための指標作りを行っています。原料用の茶葉は見た目の形などにはこだわらないことから、 より簡易に製造する方法について試験を行っています。

(4) これまでの成果

二・三番茶の収穫時期を遅らせることで、年間のお茶の収穫量は大幅に増加し、液体肥料を与えることで、 品質をある程度維持することができます。また、数年間大量収穫を繰り返しても、茶の木の若返りを一定の年数で行うことで、 一番茶への影響も抑えられることがわかりました。

参考資料

説明図をみる

 

3.茶樹優良品種母樹園の設置並びに優良品種の選定(H18年〜)

(1) 背景

現在栽培されているお茶の品種の中で大半を占める“やぶきた”は、品質が良く、栽培・加工がしやすいという 特徴があります。しかし、味や香りの画一化や作業時期が集中するなどの問題が有り、摘採時期など特性が異なる 優れた品質の品種の選抜が必要です。

(2) 目的

長崎県での栽培に適し、味や香り、生産性の高い有望な品種を選抜します。

(3) 内容

全国4箇所の試験研究機関で選抜された有望な系統を栽培し、生育の程度や、一番茶・二番茶の品質や収量を調査し、本県に適した品種を選抜します。

(4) これまでの成果

これまでに行った品種の比較試験から、「やぶきた」を含む6品種を奨励品種、3品種を認定品種として指定し、長崎県内に広く普及を図るため、 穂木の提供を行っています

 

4.効果的灌水による茶樹秋肥施肥灌水技術の確立(H23〜27年)

(1) 背景

近年の気象の変化で、茶に施肥を行う時期の1つである夏秋期は少雨の傾向が続いています。また、茶園の土壌は大型の乗用型機械の導入が進み、うね間の土が踏み固められて根の成長が妨げられていると指摘されています。このような要因から、夏秋期に施用する秋肥の利用効率が悪くなっていると考えられます。

(2) 目的

夏秋期の肥料の利用効率を改善し、茶樹体の生育を確保します。また、干ばつ時の効率的なかん水方法について技術確立を行います。

(3) 内容

秋肥の施用位置については、従来のうね間からより根が多い樹冠下へ移動し、肥料成分の利用効率向上を図る試験を行います。また、施肥時期については、現在の少雨高温の時期から、より施肥に適した時期への変更を検討します。

また、かん水については、干ばつ時にかん水チューブ、スプリンクラーの利用及び乗用型防除機を利用した樹幹下への散水などの試験を行い、節水型かん水の効果を調査します。

(4) これまでの成果

昨年度の秋肥は、時期をずらして施肥を行っており、現在収量と品質について調査中です。


終了した研究課題の成果の紹介

1.気象と生育予測による茶園管理技術とクワシロカイガラムシ防除法の確立(H16〜18年)

(1) 背景

お茶の生育は、近年の気象変動の影響を受け茶摘みの時期が早まりつつあり、その後の適切な整剪枝管理時期の把握が難しく なっています。また、防除が難しい害虫のクワシロカイガラムシの発生が近年拡大し、大きな問題になっています。

(2) 目的

茶の生育やクワシロカイガラムシの発生は気温と密接な関連があり、標高の違いなどの気象条件に対応した茶園の枝管理や 防除法の確立が必要となります。そこで、気象情報を活用した茶園の管理技術とクワシロカイガラムシの防除法を確立しました。

(3) 内容

幼木茶樹の仕立てや、成木の更新後の枝処理について、一定の日を基準とした平均気温の積算温度と茶の生育の関係を解明し、 気象に応じた枝管理について検討しました。また、クワシロカイガラムシ防除については、気温データを基に算出し、 防除適期予測と実際の防除適期との適合性について検討しました。また、クワシロカイガラムシの天敵種とその発生状況を県内各地で調査しました。

(4) これまでの成果

◎積算温度を基に、更新処理後の適切な枝の管理時期を算出しました。

◎クワシロカイガラムシについては、気象データを基に防除の適期を把握できるようになり、現在各地でこの方法を使用して防除が行われています。 また、天敵の発生状況を確認し、天敵を有効に活用することで、被害の軽減や農薬の散布回数の削減に寄与しています。

 

2.飲む人・作る人に安心な茶生産技術の確立(H18〜20年)

(1) 背景

消費者にも生産者にも安全・安心で環境に配慮したお茶づくりが求められており、化学農薬や施肥量の削減が求められています。

(2) 目的

高品質なお茶の安定生産を行うためには、病害虫の防除や肥料の投入は欠かせません。しかし、できるだけ化学農薬の使用を抑え、 またより効率的な肥料の与え方を検討し、現在より減肥・減農薬栽培を行うための技術開発に取組みました。

(3) 内容

◎黄色ランプの防蛾効果や、病害虫の発生源となる枝の刈り落としなどを組み合わせた化学農薬の使用を減らす技術体系を検討しました。

◎また、お茶の収穫芽の生育時期に液体肥料を与えることで、年間肥料を削減しつつ、収穫量や品質を低下させない方法について検討しました。

(4) これまでの成果

◎枝の刈り落としと的確な防除時期を見極めることで、化学農薬の使用回数を抑えることができました。

◎芽出し肥に化学肥料の代わりに有機の液体肥料を与えることで、収量・品質を維持することができました。液体肥料の散布には、お茶の乗用型の管理機械を有効活用し、より効果的に行うことができました。

参考資料

説明図をみる

◎成果の概要(PDF形式): 「茶乗用型防除機を活用した液肥の施用と効果」