■農産園芸研究部門 − 野菜研究室

■所在: (本所)  TEL(0957)26-4318 / FAX26-9197
■職員数: 研究5,現業2,嘱託1

 

いちご、アスパラガス、トマトなどの施設野菜を中心に、高品質で高収量、安定生産技術の開発を行ってます。

また、新規品目の探索と栽培技術確立、局所施肥などによる肥料を減らした葉菜類(レタス等)の栽培技術の開発、ネギ、ショウガ、ニンニクなどの遺伝資源の保存も行っています。


研究課題

現在取り組んでいる研究課題の紹介へ

 ▼「ブランド・ながさき」農産物育成事業
 ▼イチゴ新品種「こいのか」の生産安定技術確立
 ▼パッケージセンター活用と局所環境制御技術を駆使した大規模高収益イチゴ経営モデルの構築
 ▼アスパラガス有望品種の栽培技術確立
 ▼規模拡大をめざした露地アスパラガスの生産技術確立
 ▼畑地での環境保全型農業技術の確立
 ▼土壌機能増進対策事業
 ▼新規品目の提案型PRと普及・定着支援ならびにそのための基礎的調査 (研究マネジメントFS)
 ▼遺伝資源および優良種苗の保存と配布
 ▼地域ブランドに向けた野菜の生産技術開発

現在取り組んでいる研究課題の紹介

1.イチゴ炭そ病抵抗性系統の探索

概要

九州沖縄農業研究センターで育成された「おおきみ」・「カレンベリー」・「おいCベリー」、宮城県育成の「もういっこ」、愛知県育成の「ゆめのか」、三重県育成の「かおり野」について「さちのか」、「こいのか」、「とよのか」と比較検討しており、早生性、収量性は「かおり野」が優れ、炭疽病に対しては「カレンベリー」、「おおきみ」、「かおり野」の耐病性が認められました。今後も、炭疽病抵抗性、早生性、収量性に果実品質を加味した有望品種を探索していきます。

 

2.トマト黄化葉巻病耐病性系統の選定

概要

促成トマト栽培では、コナジラミ類による黄化葉巻病が発生し生産が不安定であるため、耐病性があり、かつ収量・品質が良好な品種選定を行いました。10月定植の作型において、3品種の比較試験を行い、「TY桃太郎さくら」が慣行品種「麗容」と同等の収量・糖度を確保できました。また、変形果や尻腐病等の発生も少なく有望品種であることが明らかとなりました。23年度は、盛夏期の8月下旬に定植する作型で、これまでに明らかとなった有望系統及び新系統について選定試験を行う予定です。

 

3.育苗時施肥量の解明

概要

新品種「こいのか」において、9月上旬までの花芽分化を安定的に行なうための施肥量は総窒素140mg程度であり、中旬までの花芽分化のための施肥量は総窒素200mg程度でした。年次変動を考慮し、23年度も継続して試験を実施します。

 

4.本圃適正基肥量の解明

概要

新品種「こいのか」における地床、高設栽培のそれぞれについて、基肥量を検討しています。これまでの成果として、地床栽培では10a当り窒素成分量で10kg程度、高設栽培では同15kg以上の施用で生産が安定していました。しかしながら、高設栽培では、窒素成分10kgの施用では、春先に肥料切れが見られるため、年次変動を考慮し23年度も継続して試験を実施します。

 

5.品種「こいのか」の適正電照管理技術の解明

概要

新品種「こいのか」における電照時間は、「さちのか」の半分程度でも収量、品質に与える影響は見られませんでした。単年度の成績であるため、23年度も引き続き試験を行い、「こいのか」に適した電照管理技術を確立します。

 

6.盛夏期定植の超促成栽培を可能にする技術開発

概要

長崎型高設栽培を利用し、7月6日に未分化苗を定植し、局所環境制御を試験しました。高温条件ので中で供試した「さちのか」、「こいのか」、「さがほのか」の3品種とも、収穫開始時期は7日以上前進化し、品種間差はあるものの年内収量で187〜490%,総収量で108〜126%の増収効果が認められました。23年度は7月5日に未分化苗を定植し、年内収量や全体収量の向上を目的とした局所制御技術(水温・処理期間)、未分化苗に適した苗質について研究を行っています。

 

7.アスパラガス有望品種の栽培技術確立

概要

有望品種「NJ953」(ヨーデル)は、ウエルカムと比較してL級以上の太物率は低下しますが、春芽、夏芽ともに総収量は高くなりました。ヨーデルは、定植後1年目に8mm以上の茎本数を10本確保することによって、翌春の収量が高まりました。現在、立茎の太さ、本数、摘心位置について調査中です。

 

8.アスパラガス春芽増収のための株養成法

概要

「UC157」(ウェルカム)において、夏季(8月1日〜9月14日)に追加立茎+かん水制限(週1回)し、9月15日以降通常の肥培管理をすることにより、夏芽の収量は減収するものの翌春芽は増収しました。夏芽+翌春芽の収量は慣行よりやや低下しますが、単価は夏〜秋に安く、春が高くなるため、収益は同等となりました。23年度も継続試験を実施しています。

 

9.単年どり露地アスパラガス栽培における堆肥量・基肥量が根株重量・糖度へ及ぼす影響

概要

水田において単年どり露地アスパラガスの根株養成を行い、4月上旬定植の作型で、堆肥量3水準、基肥量2水準の試験を実施し結果、堆肥量5t・基肥窒素量10kg施用により、平均根株重1.6kg、貯蔵根糖度23度が確保できました。

 

10.単年どり露地アスパラガス栽培の伏せ込み栽培の収量と品質

概要

単年どり露地アスパラガスの伏せ込み栽培で、4月上旬定植、12月下旬根株掘り取り・伏せ込み(地温17℃設定)を行うと、収穫期間2ヶ月(1/上〜3/上)で平均可販収量460kgを確保できました。

 

11.葉菜類の環境保全型施肥技術

概要

1)畝内条施肥

ブロッコリ−での畝内条施肥試験ではN30%減肥でも、収量は慣行と同等となることを確認しました。23年度はキャベツでの畝内条施肥による窒素施肥量の削減試験を実施予定です。

2)セル内施肥

ブロッコリー、レタス、ハクサイ、キャベツにおいて、「セル内施肥」での減肥試験をセンター内圃場で実施しました。「セル内施肥」とは、育苗培養土に緩効性肥料(ジェイカムアグリ製育苗自慢)を混合し、育苗して定植する施肥法です。「セル内施肥」での減肥率を基準施肥量の80%減肥となる苗を作り、定植しました。収量は基準と比較して、同等からやや劣る収量となりましたが、生育量を見ながら追肥を行うことで、大幅な減肥をしても基準並みの収量が穫れる可能性があるのではないかと期待しています。23年度もレタスなどで実施する予定にしています。

 

12.たい肥等有機物・化学肥料適正使用指針策定調査

概要

1)アスパラガスの春芽に対する適正肥培管理技術の確立

アスパラガス半促成長期どり栽培の秋期追肥が春芽に対する影響を明らかにするための追肥試験を、圃場において実施しています。収量および品質調査と、追肥による茎葉の黄化程度、病害の発生程度等を調査しています。また、秋の追肥により土壌中の窒素含量が高まることが解っていますので、保温開始前の春肥削減量と春芽収量との関連を調査しています。

 

13.野菜パパイアの品種選定と生産技術確立

概要

新野菜として、露地で春に定植し秋〜冬期に収穫する野菜パパイアについて試験を行っています。22年度は、本県の気象条件等でも収穫可能な品種の選定を行うため8品種の比較試験を行いました。その中で、1品種が単収2.4t以上と多収となりました。23年度は、生産性向上を図るための施肥試験を行っています。

 

14.カックロールの栽培技術確立

概要

施設内のドレンベッド(隔離床)を利用し、無加温+養液土耕栽培で新野菜「カックロール」の栽培試験を行っています。22年度は7月定植の10月収穫開始の作型で収穫期間が短く、単収は約200kgでしたが、変形果も発生せず、良質生産ができました。23年度は、施設内で越冬した塊根を利用し、不耕起栽培による春夏作の作型を試験しています。収量等については現在調査中です。

 

15.特産野菜の遺伝資源保存

概要

1) ニンニクの系統保存

S59からニンニク36品種の遺伝資源保存栽培を行っています。22年度は9月下旬に定植を行い、収穫は5月上旬〜6月上旬に行い、現在貯蔵施設内に保存しています。

2) ネギ類の系統保存

S59から夏ネギ11品種、ワケギ24品種の遺伝資源保存栽培を行っています。夏ネギ、ワケギとも22年9月下旬に定植を行い、収穫は5月上旬から行いました。

3) ショウガの系統保存

県内在来種、栽培種と海外からの導入種を含め、昨年まで26の品種・系統に加え、新たに1系統(土佐系、東長崎産)を追加しました(計27品種・系統)。23年度は4月22日に植え付け、11月上旬に収穫する予定です。

 

16.イチゴの花芽分化安定技術の確立

概要

「さちのか」における花芽分化の安定性向上のため、育苗時の冷水処理や短日夜冷処理・暗黒低温処理による効果の検討などの試験を行いました。その結果、育苗時の冷水処理は無処理よりも花芽分化がやや早い傾向にありましたが、効果について年次変動がありました。

 

17.促成トマトの高糖度生産技術の確立

概要

促成トマトにおいて、高糖度生産を目的とした栽培技術試験を行ない、慣行の土耕栽培の単収10tと比較し、遮根透水シートでは約5tと半減しますが、1〜6月までの収穫期間を通して糖度8度以上を確保できました。

 

18.促成中玉トマトの高糖度生産技術の確立

概要

促成中玉トマトにおいて、生産性の高い有望品種を選定するため、3品種の比較試験を行いました。土耕栽培では、慣行品種「華クィン」の単収12tと比較し、「フルティカ」が15tと高く、「シンディースイート」が収穫期間を通じ糖度7〜8度と高くなりましたが、平均1果重は土耕栽培で30g〜40gとなり有望品種だと考えられました。また、遮根透水シート栽培では、全品種とも10g〜20g程度と小玉で推移するため、収量が3〜5tと極端に低下しました。このため、遮根透水シートにより栽培を行う場合は、かん水量等の肥培管理技術を確立する必要があります。

 

19.次期有望野菜の検討(イチゴ高設の有効利用)

概要

長崎県型イチゴ高設栽培システムにおいてイチゴの後作としてミズナとネギの生産性を検討しました。ミズナは株間20cmで太陽シート利用、ネギは株間10cmで太陽シート利用が最も生産性が高く、10a当たりの所得はミズナ2作で約20万円、ネギ1作で約16万円となり、イチゴの5月以降と同等以上の所得が見込めます。