■干拓営農研究部門

■所在: 〒854-0038 諫早市中央干拓131 TEL(0957)35-1272 / FAX35-1273
■職員数: 研究5(うち部門長1),現業1,嘱託2

防災機能と優良な農地の造成を目的とした国営諌早湾干拓事業は2007年(平成19年)に完了し、 その防災効果は地域の住民から高く評価されています。

また、約700ヘクタールの優良な農地では、意欲ある農業者の方々が、生産性の高い大規模露地野菜や 収益性の高い施設野菜、粗飼料生産基盤を有する安定した畜産経営の確立を目指して企業的かつ先進的な営農活動を展開されています。

農林技術開発センター干拓営農研究部門では、営農支援を最優先課題とし、これまでになかった 大規模農地(畑作)での環境保全型農業技術の確立とブランド化に向けた取り組みを進めています。

具体的には、次のようなことを重点課題として研究を進めています。

減化学肥料ならびに減農薬栽培技術の確立と機械化体系

諌干農産物のブランド化に向けた栽培技術

優良農地の持続的活用のための圃場管理技術

また、21年度には太陽光発電パネルが設置され、自然エネルギーを活用した農業機械や施設環境制御などの 自然循環型農業の確立に向けた取り組みがスタートしました。

さらに、本年度から農林技術開発センター全体の取り組みとして他の公設試とも連携した いさはや新池(諌早湾干拓調整池)の水質浄化に向けた共同研究をスタートさせたところです。

排水門の中長期開門調査を巡る情勢は、依然として不透明な状況にあり、開門調査が実施されれば 多大な影響が想定される中、営農者や地域住民の方々は不安を抱えながらの生活や営農を余儀なくされています。

営農面での環境保全対策はもとより、周辺地域の環境にも配慮した取り組みを積極的に情報発信することで、 開門調査の必要がないことを主張していくとともに、全国に例のない21世紀型の先進的かつ大規模な環境保全型農業のモデルと なることを最終の目標として研究を進めています。

     
干拓部門の要覧 農業技術対策の手引き    
(2009年4月版) (2011年3月版)    
PDF (約3.5MB)    

研究課題

現在取り組んでいる研究課題の紹介へ

終了した研究課題の成果の紹介へ



 

現在取り組んでいる研究課題の紹介

 

1.大規模環境保全型農業の確立

(1) 背景・目的・内容

◎特別栽培農産物の生産が可能な化学肥料削減技術の確立に向けて有機質肥料等の施用試験を行っています。

◎特に、ニンジン、タマネギ、キャベツ、ハクサイ、レタス、イチゴ、トマト、アスパラガス、メロン、キク などの品目では、ナタネ油かす等の有機質肥料や県内で生産される乾燥鶏ふん等の家畜排泄物を利用した低コスト施肥技術の確立を目指しています。

◎精密農法導入を検討するため、近赤外線画像解析によるバレイショの生育診断技術の開発を行っています。

◎イチゴのベンチ栽培システムやミニトマト、メロンでの養液土耕システムによる効率的施肥技術を検討しています。

◎アブラナ科根こぶ病対策としてのおとり作物(葉ダイコンCR-1、ヘイオーツ)の作付体系化やバレイショ等への幅10mの 幅広ベタ掛け資材の活用技術の確立に取り組んでいます。

◎施設イチゴ、メロン、アスパラガスでは、生物農薬(天敵製剤)を利用した減化学農薬技術の開発を行っています。

◎除草対策並びに省力化、低コスト化のため、ニンジン、ダイコンにおけるシーダマルチ栽培、タマ ネギ直播き栽培、スィートコーンのマルチ播種や移植栽培について機械化システムの確立を目指しています。

◎収穫残渣対策として、バレイショの炭化物の施用試験を実施しています。

参考資料

◎成果情報(PDF形式)◎

キャベツ大規模露地圃場における黄色ナトリウムランプと BT 剤を用いたチョウ目害虫の減化学農薬防除体系

レタス大規模露地圃場における黄色ナトリウムランプを利用したチョウ目害虫の減化学農薬防除体系

春バレイショ栽培におけるべたがけ資材の霜害回避効果

諫早湾干拓地における早生タマネギの白黒ダブルマルチ被覆による収穫期の分散方法

バレイショ炭化物の生成温度と資材特性

 

2.干拓農産物のブランド化栽培技術の確立

(1) 背景・目的・内容

◎大規模ほ場の特徴を活かした加工適性の高い規格生産技術として、キャベツ、ニンジン、ホウレンソウ、 ステムレタス、コールラビ、ザーサイ等の栽培技術確立を目指しています。

◎また現場ニーズに合わせ、サトイモ、ホウレンソウの周年出荷体制、ゴボウ、ユウガオ(カンピョウ)の 加工・業務用野菜の栽培技術確立に取り組んでいます。

◎干拓地特有の生産条件を生かしたニンジン、ホウレンソウ等の高食味、高ミネラル、高保健機能性農産物の 生産技術確立に向けて調査を実施しています。

◎施設イチゴ、トマトでは有機質肥料の施用による高品質化にも取り組んでいます。

参考資料

◎成果情報(PDF形式)◎

諫早湾干拓地における加工・業務用野菜ステムレタスの生育特性と栽培法

諫早湾干拓地における露地夏秋キュウリの梅雨明け植え替え更新法

諫早湾干拓地における加工・業務用野菜「コールラビ」の生育特性と栽培法

施設ホウレンソウの減化学肥料栽培

 

3.圃場等管理技術ならびに基礎調査

(1) 背景・目的・内容

◎高圧洗浄機による暗渠排水機能の維持増進技術に関する調査や、畦畔等のカバープランツとして、ヒメイワダレソウ、 センチピードグラス等の栽培適応性等の調査を実施しています。

◎干拓営農の基礎調査として、気象調査、土壌調査、野菜の作柄調査等を実施し、データベース化を図り、現地指導や 試験研究の基礎情報として活用しています。

参考資料

◎成果情報(PDF形式)◎

諫早湾干拓地における高圧洗浄と洗い流しによる暗渠配水管の洗浄法

諫早湾干拓地におけるヒメイワダレソウ並びにセンチピードグラスの生育特性

諫早湾干拓地における排水性向上と土壌乾燥促進のための補助暗渠の間隔

 

4.農業機械・施設の技術確立

(1) 背景・目的・内容

◎施設野菜栽培環境改善技術の確立イチゴ育苗時の炭疽病発生抑制を図るため、流水育苗ポットを企業と連携し、市販モデルを開発しました。 その効果を確認するために、「さちのか」の育苗時に雨よけ栽培、頭上かん水等と比較し、その効果を検証しています。

◎循環型次世代農業への取り組み長崎県産業振興財団を中心に諫早湾干拓地を循環型次世代農業のモデル地区とする取り組みがなされています。 その中で、太陽光パネルによる発電を行い、施設の自動開閉や換気扇の駆動を行うシステム化やバッテリー駆動のソーラー農耕機の開発が検討されており、その実証に 関し支援を行っています。

参考資料

◎成果情報(PDF形式)◎

イチゴ炭そ病罹病拡大を防止する流水育苗ポット台の開発


終了した研究課題の成果の紹介

1.バレイショにおける環境保全型大規模生産技術の構築

(1) 背景・目的・内容

◎バレイショ寄生性アブラムシ類の天敵としてテントウムシ、寄生蜂などが確認され、土着天敵の増殖に適した バンカープラントとしてムギ類とソルゴーが有望でした。

◎1ha6灯の大規模黄色灯(高圧ナトリウムランプ、270W)によって、ハスモンヨトウなどのヤガ類の被害が 低減できました。

◎環境に負荷の少ない薬剤による大量種イモ消毒のため、効率的な少量散布方法を検討しました。

◎西南暖地における春バレイショの疫病初発予測モデルとして既存モデルの改変を行いました。

◎成分調整成型堆肥を使用することで、春秋バレイショともに化学肥料使用量の削減と土壌肥沃度の向上を図ることが できました。

◎畑地からの栄養塩排出量削減のため、暗渠排水のモニタリング調査を実施しました。

◎バレイショの施肥、畦立て、植え付け、薬剤散布、マルチ張りの5工程を一作業で行うことのできる多機能 種イモ植付機を開発しました。

参考資料

◎成果情報(PDF形式)◎

バレイショ大規模露地圃場の減化学農薬病害虫防除体系

成分調整成型堆肥を用いたアスパラガスの減化学肥料施肥技術

成分調整成型堆肥を用いた諫早湾干拓地での春作ばれいしょの減化学肥料栽培

バレイショ多機能植え付け機の性能評価

 

2.施設野菜および花き類の栽培技術の確立(H16〜19)

(1) 背景・目的・内容・成果

◎施設野菜のイチゴ、トマト、アスパラガス、メロン、花きのキク、カーネーションを中心に、作型、品種、栽植密度、施肥量、防除体系等の干拓地に 適応した栽培技術を明らかにしました。また、輪作体系や暖房負荷等、施設の利用条件についても成果を得ることができました。

◎加工野菜のニンジンとタカナのほか、ソラマメ、スィートコーン、施設軟弱野菜(ホウレンソウ、コマツナ、チンゲンサイ等)の栽培適応性を確認しました。

◎調整池を水源とするかんがい用水の水質調査とかん水試験により、塩害等による作物の生育及び収量・品質に対する影響は認められませんでした。 また、かん水器具の利用上の問題点を明らかにしました。

◎諫早湾干拓地に導入可能な低コスト耐候性ハウスとして、スパイラル式基礎ハウス、補強T型ハウス(松杭基礎工法、ソイルセメント工法)、 鉄骨フェンロー型ハウス、二重アーチパイプハウス等を導入し、台風による影響を検討しました。

参考資料

◎成果情報(PDF形式)◎

諫早湾干拓地における施設イチゴ「さちのか」の栽培適応性と施肥体系

諫早湾干拓地における施設アスパラガスの栽培適応性と施肥体系

アスパラガス春芽収穫期の温度と若茎の伸長速度、収穫及び萌芽周期

諫早湾干拓地における施設メロンの栽培適応性と灌漑用水の違いによる生育・収量への影響

諫早湾干拓地における夏ギクの窒素施肥量

諫早湾干拓土壌を用いた養液土耕栽培におけるカーネーション「 ライトピンクバーバラ」の施肥量

諫早湾干拓地におけるタカナの栽培適応性と春どり「三池タカナ」の収穫限界期

諫早湾干拓地における未成熟ソラマメの栽培適応性と省力一斉収穫栽培法

未成熟ソラマメの一斉収穫栽培法における収量構成要素と目標とする草量

未成熟ソラマメの一斉収穫後の採種法

諫早湾干拓地におけるスイートコーンの栽培適応性と黄色灯による防除効果

施設メロン後作軟弱葉菜類の生育予測プログラムによる作付計画及び経営規模決定への活用

施設メロン後作軟弱葉菜類の栽培適応性と生育・収量の予測

秋作メロン後作チンゲンサイ、ミズナの無肥料栽培

秋作メロン後作ミズナの生育・収量予測と作付計画及び経営規模決定プログラムへの応用

秋作メロン後作コカブの無肥料栽培での生育及び収量予測と出荷調整労力

秋作メロン後作スイスチャードの特性と無肥料栽培での生育、収量予測

秋作メロン後作コカブ、スイスチャード(フダンソウ)の生育・収量予測による作付計画及び経営規模決定プログラムへの応用

諫早湾干拓調整池水のかん水利用と留意点

非破壊糖度計(K-BA100R)によるイチゴ、トマトの糖度計測の実用性

 

3.大規模機械化体系の確立と経営評価

(1) 背景・目的・内容・成果

◎長崎県内のバレイショおよびタマネギ栽培では実績のない大規模農業機械の適応性、作業性を調査し、干拓地での機械化体系への導入条件を 明らかにしました。

◎1筆6ha区画圃場での栽培を想定した露地野菜の営農モデルとして8品目・11モデルを組み立て、諫早湾干拓地での機械化体系の経営的な 評価を行いました。

参考資料

◎成果情報(PDF形式)◎

機械移植に適するタマネギ苗の育苗方法

干拓土が付着したバレイショに対するバレイショ土落とし機の効果

4.諫早湾干拓土の早期土壌改良(H12〜15)

(1) 背景・目的・内容・成果

◎重粘質で海水の影響を受けている干拓土壌の改良のため、緑肥作物の栽培と鋤込み並びに補助暗渠等の営農排水対策を2年間(夏冬計4作)実施すれば畑 作が可能なレベルまで除塩が進み、土壌肥沃度も改善することを明らかにしました。

◎緑肥作物としては、夏作はトウモロコシ、ソルガム、セスバニア、冬作はイタリアンライグラス、麦類が有望でした。

◎緑肥作物の鋤込みに加え、牛ふん堆肥の2t/10a施用により早期に土壌の作物生産力が増強することがわかりました。

参考資料

◎成果情報(PDF形式)◎

諫早湾干拓初期営農における緑肥栽培による土壌特性の変化

諫早湾干拓初期営農における緑肥栽培法と土づくり効果

諌早湾干拓初期営農における施肥・堆肥施用条件と土壌中の可給態リン酸、交換性カリウムの変動

諫早湾干拓地における夏作緑肥の適応性

諫早湾干拓地における冬作緑肥イタリアンライグラスの生育特性

 

5.初期干拓地における農作物の適応性の評価

(1) 背景・目的・内容・成果

◎露地野菜のタマネギ、春バレイショ、ニンジン、ダイコンは干拓地への適応性は高く、秋バレイショ、レタス、ブロッコリー等の露地野菜のほか、 花き類では露地のシンテッポウユリ、施設のキクも適応性が認められました。

参考資料

◎成果情報(PDF形式)◎

諫早湾干拓地の初期営農における露地野菜(葉茎菜類)の栽培適応性

諫早湾干拓地の初期営農における露地野菜(根菜・いも類)の栽培適応性

諫早湾干拓地の初期営農における早生タマネギの基肥施用量

諫早湾干拓地産の晩生タマネギの貯蔵性

タマネギの簡易貯蔵施設

諫早湾干拓初期営農における春作バレイショの適正窒素施肥量

諫早湾干拓地における春作マルチバレイショの植付適期

諫早湾干拓地における秋作バレイショの植付適期

諫早湾干拓初期営農における冬ニンジンの適正窒素施肥量

諫早湾干拓地における秋冬ダイコンの収穫期の判定

諫早湾干拓初期営農における年内どりレタスの適正窒素施肥量

諌早湾干拓初期営農における冬キャベツに適した堆肥の種類と施用量

諫早湾干拓における年内どり秋冬ハクサイ並びに冬キャベツに対する窒素肥料削減法

諫早湾干拓地におけるシンテッポウユリの窒素施肥量