新聞報道

    

専用土16連作まで可能 イチゴ高設栽培システムで調査

2011年(平成23年)8月7日

県の園芸作物の主要品目であるイチゴの栽培は、足腰を曲げて行う作業が多く、体への負担が大きい。この問題点を解決するために県農林技術開発センターは長崎県型イチゴ高設栽培システムを開発、立った姿勢で作業ができるようになった。同システムでは専用土を使用しており、使用年数による土質と収量の変化などを調査している。

【作業軽減と収量増】

同システムでは、土の温度を保つための温湯管を導入したことで、作業負担の軽減に加え、収量も向上した。これにより2009年度までに県内で約50haに広がっている。導入経費は普及が始まった1997年度は10a当たり約380万円で、そのうち20%が専用土の費用だった。専用土は、薩摩土や水ごけを主原料としたピートモスなどを配合したもので、耐用年数は8年程度と想定していた。

だが、専用土の入れ替えに要する経費や作業は、農家の大きな負担となる。このためセンターは、93年のシステム開発当初から今日まで専用土を連年使用し、収量性などの試験を行ってきた。

【専用土の性質の変化】

専用土の土壌成分は、2作(年)目以降、特にカルシウム、マグネシウム、リン酸は蓄積されたが、生育に影響を及ぼすレベルではなかった。一方、カリウムの蓄積はみられなかった。粒子の大きさは、使用回数(年数)を重ねるごとに直径の大きな粒子の割合が減少していることが分かった。

【生育・収量への影響】

調査には、県の主要品種「さちのか」を使用。専用土の性質の変化による生育や収量への影響は認められなかったことから、専用土の連続使用は16作(年)目までは可能であることが明らかになった。

しかし、より長く使用し、生産の安定を図るため、@土壌消毒前に水で塩類を流し、集積を防止する。A収穫後に根部を除去する際には、できるだけ大きな粒子の損失を防ぎ、専用土の質を保つことに気を付け管理してほしい。

    作業負担の軽減などを実現した長崎県型イチゴ高設栽培システム
    
    
    

(長崎県農林技術開発センター 農産園芸研究部門 野菜研究室 主任研究員 野田和也)