新聞報道

環境負荷少ない水稲栽培 育苗時に全量施肥し疎植

2011年(平成23年)4月17日

大村湾や諫早湾干拓の調整池などに閉鎖された水域。こうした水域に流れ込む水稲の肥料成分を抑え、水質の低下を軽減させようと、県農林技術開発センター作物研究室は技術開発に取り組んでいる。今回紹介する水稲栽培方法では、環境保全とともに米の低価格化にも対応しようと省力、低コスト化も目指している。

栽培に使う品種は諫早湾沿岸の平地などで近年広く栽培されている「にこまる」。育苗箱で稲を育てる段階で特殊な肥料を利用し、肥料の使用、流出量を抑制。さら植え付け間隔を広くし(疎植)、育苗箱の減少と省力化を図る。

水稲に必要な窒素成分をゆっくり放出する専用の被覆肥料を使用すると、必要な肥料の全量を育苗箱の段階で与えることができる。この苗を植え付ければ、作付け時に肥料をまく作業は不要になる。育苗箱に肥料を与えているので、田植え前の整地(代かき)時に肥料をまく必要もなくなり、肥料成分が水田から流れ出ることもなくなる。

また、苗の根元に肥料があるため、苗が肥料を吸収する割合が高く、肥料の使用量を通常より4割も減らすことができる。

さらに、苗の間隔を一般の栽培で行われている16〜18aより広い30aにして植えることで、植え付け株数の削減が可能になる。間隔を広げると稲穂1本当たりのもみの数が増え、株数が減っても全体の収量はほとんど変わらない。この栽培技術を採用すると、収量を維持したまま育苗箱数は約4割少なくて済む。

こうして収獲された「にこまる」は、収量、品質、食味の全てで一般栽培と変わりなく、10eあたりの種子、土、肥料、農薬などの資材費は9千円削減。田植え機械への育苗箱の積み替え時間も約4割短くなる。ただ、根の張りが悪いと苗を田植え機にセットする際、崩れやすくなるので、種をまく量と土の量を増やす必要がある。

省力・低コスト化ができ、減肥による環境負荷の少ない栽培法として、今後、「にこまる」の産地である県央地区を中心に普及をすすめ、閉鎖性水域の水質改善に役立てていきたい。

    

       

育苗箱の内部

  

       

根元に見える白い玉が被覆肥料

  

(長崎県農林技術開発センター農産園芸研究部門作物研究室 主任研究員 古賀潤弥)