育成状況と使用順を考慮 ジャガイモの減農薬栽培
2011年(平成23年)3月27日
ジャガイモは本県の主要な農作物の1つであり、その生産量は北海道に次いで全国第2位である。本県では温暖な気候を利用して1年に2回栽培されており、収穫時期が4〜5月頃の春作栽培と12月頃の秋作栽培がある。
春作栽培での重要な病気の1つであるジャガイモ疫病(以下、疫病)は、ジャガイモの茎葉を枯らしたり、塊茎を腐敗させるため、収量を大幅に減少させ、雨が多い時には1週間ほどの短期間で畑全体に広がる場合もあることから、本県だけでなく、世界中のジャガイモ栽培において最も被害が懸念される病気である。
そのため、農薬の中では疫病を防除するための散布回数が最も多いが、消費者の減農薬栽培農作物へのニーズ、そして生産者自身も農薬使用を減らしたいと考えていることから、農薬の散布回数を低減する技術が求められている。
通常、疫病を防除するための農薬は7〜10日間隔で散布するため、栽培期間中の散布回数は5回以上となる。単に散布回数を減らすと散布間隔が14日間隔と長くなり、散布後伸長した茎葉に薬剤が付着していない部分が多くなり、そこに疫病菌が感染し、発病することが問題となっていた。
このため、農林技術開発センターでは、各種農薬の特性を生かし、ジャガイモの生育状況に合わせた農薬の散布間隔と、使用する順番について検討することで、疫病防除のための農薬の散布回数を3回程度に抑える効率的な農薬の使用方法を明らかにした。
防除は畑全体の8割が出芽する時期である出芽揃い期の2週間後から開始する。茎葉の伸長が早い時期であるので、まず、成分が浸透して長く効き、治療効果がある農薬を最初に散布する。次に徐々に伸長が落ち着いてくるので、治療効果と成分が雨に流されにくい性質(耐雨性)を併せ持つ農薬を散布する。最後に耐雨性が高い農薬を散布すると、散布間隔を14日にした場合にも防除効果が安定し(図のB,C)防除回数を従来の5回から3回程度に抑えることができた。作用の違う複数の薬剤を使い分けることで菌が薬剤抵抗性を持つことも防ぐことができる。
あわせて、気象データをもとに疫病が発生する時期を予測するシステムを、開発している。発生予測により最適な農薬の散布時期を決定し、今回の研究と組み合わせることで、農薬の散布回数を2回程度と、さらに抑制できる可能性がある。
今後も、減農薬野菜を求める消費者ニーズと、それに応える栽培者の技術要望にかなう研究に取り組み、安定したジャガイモ生産の確保に貢献していきたい。

ジャガイモ疫病に対する複数の薬剤による棒状体系の効果
(長崎県農林技術開発センター農産園芸研究部門馬鈴薯研究室 主任研究員 小川哲治)



気象観測データ
農林資料館