ミカン糖度向上に断根 高品質、安定生産目指す
2010年(平成22年)10月3日
温州ミカンのおいしさの指標の一つである糖度を高くするには、一般に与える水の量を制限するとよいとされており、現場では、雨水は通さず土壌からの湿気だけを通す透湿性の白いシートを樹の下に被覆するシートマルチ栽培が普及している。しかし、被覆作業が7〜8月の夏場の炎天下の時期に重なるため、作業者の労働負担が大きい。また、シートマルチ栽培を行ってもシート側面より雨水が浸透して、被覆したシートの外側にある温州ミカンの根から水分を吸収して糖度が上がらない場合もある。
そこで、農林技術開発センターカンキツ研究室では、シートマルチ栽培に替わる、またはシートマルチ栽培を補完する栽培方法として、土木建設機械の油圧ショベルに断根刃を到着して、温州ミカン樹の根を切断することで水の吸収を抑え、高品質ミカンを生産することができる栽培技術を開発したので紹介する。
断根は、ミカン園の作業道幅約4bを走行できる小型の油圧ショベル(バケット量0.08立方b程度)のアーム部の先にナイフ状の鋼鉄製の刃(刃渡り50a、刃幅10a、刃厚2a)を装着し、実施した。そして毎年、4月下旬〜5月上旬に、温州ミカン樹の幹中心部から約1b離れたうね部を作業道に沿って、40aの深さで根を切断した。なお、今回は11月中旬に収穫する中生(ちゅうせい)の温州ミカンで試験を行った。
@断根処理による果実品質向上効果=グラフ=
断根処理を行うと、無処理に比べ糖度は0.5〜1.0度高くなり、7月に被覆したシートマルチ栽培並みの糖度(12.0〜12.5度)と酸含量の果実品質を確保できた。
A断根処理による収穫量の変化
断根処理を行うことで、果実の大きさが小さくなったり、新芽の伸びが小さくなり樹が大きくなりにくく、収量への影響が心配されるが、数カ年の試験結果では、収穫量の年次変動は小さく安定した収量が確保できることが確認された。
B断根処理とシートマルチ栽培の併用効果
断根処理した上で、シートマルチ栽培を行う併用効果について検討した。その結果、併用処理は、断根単独処理およびシートマルチ単独処理するよりも、果実糖度が1.0〜1.5度高くなり糖度13.5〜14.0度の高糖度果実生産が可能となった。
断根処理は、品質、処理の時期および程度によっては、樹勢や収量、効果の持続に影響するため、樹の状況を見ながら行う必要がある。なお、生産現場では、断根刃の導入が一部産地で取り組まれ、ブランドミカンの生産向上を目指して実践されている。
今後も高品質温州ミカンの安定生産に向けた技術開発に取り組んでいきたい。

油圧ショベルによる断根処理作業

(長崎県農林技術開発センター果樹研究部門 カンキツ研究室主任研究員 荒牧 貞幸)



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