ハウスの冷房などへ利用 農業に太陽光発電
2010年(平成22年)9月5日
現在、農業では機械やハウス内の冷暖房の動力源として主にガソリン、重油などの石油燃料を利用している。しかし、地球温暖化対策や低炭素社会の実現のためには、石油などの化石燃料に代わる太陽光などの再生可能エネルギーの利用促進が求められている。太陽光発電は▽無尽蔵のクリーンエネルギー ▽発電時の二酸化炭素の発生量および発電コストがゼロ ▽メンテナンスが容易で無人化、自動化が可能―などのメリットがある。
農林技術開発センターでは県内企業や県の各機関とともに農業分野での太陽光発電と利用技術開発に取り組んでいる。現在、諫早湾干拓地内に5Kw時の太陽光発電パネルを設置し、発電の状況や得られた電力の利用技術について研究を行っており、今回はハウス内冷房への利用と、開発した電動バレイショ茎葉処理機について紹介する。
@太陽光発電を利用した夏秋期のハウス内冷房試験
干拓営農研究部門では、太陽光発電とヒートポンプを組み合わせたハウス内冷房による夏秋イチゴ栽培試験に取り組んでいる。
イチゴは、6月から11月までの夏秋期が端境期となっているが、この時期にもケーキなど業務用としての需要があり、単価は冬春イチゴの2〜3倍と高く有望な作物といえる。しかし、イチゴは高温に弱く、30度以上では生育が抑えられる。
試験ハウスでは、温度を20度に保つことで、夏場でもイチゴ栽培が可能になり、さらに果実が熟す期間が十分に取れることで、イチゴの甘みや色づきなどの品質が良くなる。6〜7月に実施した試験では、太陽光から1日あたり13.5Kw時を発電し、1日の平均使用電力量97.6Kw時の約15%を賄うことができた。
太陽光発電を利用した夏場のハウス内冷房は、今回試験した太陽光パネルの場合、発電量が大きく、冷房に関するランニングコストを低く抑えることができる。さらに、冬春イチゴよりも単価が2〜3倍高く、需要も多い夏秋イチゴを栽培することで、経営の安定も図られる。
A電動バレイショ茎葉処理機の開発
電動を動力源としたバレイショ茎葉処理機を県内民間企業と共同で開発した。開発機はリチウムポリマーバッテリー(容量1.3Kw時)に充電した電気でモーターを駆動させ作業を行う。フル充電での作業可能時間は約1時間で、1時間あたりの作業面積は、約8a(エンジン機と同程度)である。作業中の振動や騒音はエンジン機に比べ大幅に少なくなった。太陽光パネルに併設した充電ステーションで太陽光から発電した電気を直接充電した場合、日中であれば、約1時間でフル充電が可能である。
今後、太陽光エネルギーを効率よく利用するための研究をさらにすすめ、農業分野における再生可能エネルギーの利用促進に貢献していきたい。

太陽光発電パネルと電動バレイショ茎葉処理機
(長崎県農林技術開発センター干拓営農研究部門 主任研究員 宮嵜朋浩)



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