新聞報道

地域農業の現状を視覚化 データマップで分析

2010年(平成22年)8月15日

本県では多様な気象・地形を生かした特色ある農業が県内各地で展開されているが、農業者の減少や高齢化などの問題を抱えている。地域の実情に応じた対策を講じるためには地域住民と関係機関が現状や将来の動向に関する情報を共有する必要がある。

そこで、農林技術開発センターでは、地域農業を視覚的に把握できるデータマップを作製したのでその一部を紹介する。数値データは、農林水産省が5年ごとに調査する農林業センサスデータを主に利用した。マップは、多様な県内各地域の特徴を見やすくするために、1950(昭和25)年時点の市町村にほぼ一致する旧市町村マップ(県内を180に区分)と、さらに小区分した農業集落マップを用いた。

図は、主に自営農業に従事している人(基幹的農業従事者)に占める65歳以上の割合を旧市町村マップで表示した例である。65歳以上の割合が50%以下の地区は、農業後継者が多く、自営農業が次世代に継承されている農家が多い地区である。このマップに、いろいろなデータ(主要品目の種類、労働力の量や質など)を重ね合わせることで、例えば農業後継者が多い地区は収益性の高い作物を栽培している傾向があるなどの、それぞれの地区の特徴や問題点を明らかにすることができる。

さらに、旧市町村を小区分した農業集落データマップを用いると、旧市町村のマップでは平均化されてその実態を見てとることができない集落の姿も浮かび上がってくる。例えば、農業生産の継続に不可欠な農地、農道、用水路などの利用・維持・管理に関するデータで農業集落マップを作製すると、「集落機能」の状態を明らかにすることができる。

このように、地域の実態が誰にでも容易に理解できるので、地域の実情に合った地域活動や振興方策などに役立てることができる。今回は、マップ1事例を紹介したが、さまざまな視点でのマップを作製しているので、今後さらに、情報提供を行いたい。

    

    

基幹的農業従事者に占める65歳以上の割合で塗り分けした旧市町村マップ
(2005年農林業センサスデータ、男女計)

      

(長崎県農林技術開発センター研究企画部門 研究企画室 主任研究員 土井謙児)