高温期の作業軽減、品質向上
輪ギク品種「精の一世」特性解明
2010年(平成22年)7月4日
長崎県の輪ギク生産量は全国4位で、年間を通じて高品質のキクを出荷しており、市場で高い評価を受けている。県内の白色輪ギクは「岩の白扇(いわのはくせん)」、「神馬(じんば)」の2品種が主力である。
輪ギクが自然に開花する時期は、日照時間や温度によって決まる。生産現場では、夜間数時間電灯をつけて日照時間を長くする電照栽培や、朝と夕方に暗幕をかけて日照時間を短くするシェード栽培、低温期の加温栽培を組み合わせて開花時期を調整し、一年中出荷している。
しかし、9~10月に出荷する場合、花芽を形成する時期が高温になるため、花が奇形になりやすい、がく片(花びらの付け根にある小さい葉のようなものの一つ一つ)の異常、茎が柔らかくなり品質が著しく低下する、わき芽かき作業に労力がかかるなどが問題となっている。このため、この時期の出荷用に、花の奇形が少なく、わき芽の発生も少ない「精の波(せいのなみ)」が栽培されているが、茎が曲がりやすく、ハダニの発生が多いなどの問題がみられる。
そこで、農林技術開発センターでは、9~10月出荷でも高品質生産が可能で、芽かき作業が大幅に軽減できる無側枝性品種(わき芽の発生が少ない品種)「精の一世(せいのいっせい)」に注目し、本県での栽培特性を解明した。2008年の9月および10月出荷の場合、「精の一世」と「神馬」「精の波」を比較したところ、出荷のため90㌢に調製した重量は比較した2品種より重く、秀品率が高かった=表=
花の奇形は、9月出荷作型で2%発生したが、「岩の白扇」に比べると極めて少なく、生産上問題とならない程度であった。また、がく片の異常やハダニの発生は見られなかった。わき芽の発生は、「神馬」に比べて著しく少ないため、高温のハウス内での芽かき作業にかかる労力を大幅に削減できた。これらの結果は、県内のキク生産者に情報提供しており、10年産からは「精の一世」の作付けが大幅に増加する見込みである。
今後は、輪ギクの高品質周年安定生産のための省エネ技術や、省力・低コスト化のための技術開発や優良系統の選抜などを進めていく。

9~10月出荷の作型での生育特性の比較

輪ギク有望品種「精の一世」
(長崎県農林技術開発センター農産園芸研究部門花き・生物工学研究室主任研究員 峯 大樹)



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