高出力黄色灯照射でヤガ類防除
大規模露地圃場 化学農薬低減に効果
2010年(平成22年)6月6日
ハスモンヨトウやオオタバコガなどの夜蛾(ヤガ)類の幼虫は、多くの農作物に寄生し、その食害によって多大な被害をもたらす。これらの害虫の防除は、これまでは化学農薬の使用が中心であったが、近年、夜間の黄色灯照射による被害防止方法がトマトやカーネーションなどの施設栽培で普及しつつある。この方法は、2.5ルクス以上の明るさのオレンジ色(波長ピーク580ナノメートル)の光が、ヤガ類成虫の飛来を抑制することを利用したもので、これにより化学農薬の使用量を低減することができるため、食の安全・安心に寄与するものである。
一方、大規模露地圃場(ほじょう)において、被害防止に必要な明るさを得るためには、従来の器具や設置方法では光源を圃場内にたくさん設置しなければならず、大型機械による農作業に支障を来すなどの問題があった。
そこで、農林技術開発センターでは、高出力の黄色高圧ナトリウムランプ(270㍗)を用いて、大規模露地圃場に対応した設置方法やヤガ類の被害低減効果を検討した。
▷黄色灯の設置方法 高出力の黄色高圧ナトリウムランプを1㌶(100×100㍍)の露地圃場の両側周縁部に、35㍍間隔、高さ5㍍、内向き水平方向照射で3灯ずつ計6灯を配置することにより、圃場全体に2.5ルクス以上の明るさを確保した。
▷黄色灯照射によるヤガ類被害防止効果 黄色灯の照射による被害低減効果を検証するため、黄色灯の照射を、作物の植え付け(9月上旬)1週間ほど前から開始し、栽培終了時まで毎日行った。また、照射する時間帯は、ヤガ類が活動する日没直前から日の出直後まで行った。この結果、次に挙げる効果を明らかにした。
①秋作バレイショでは、シロイチモジヨトウなどのヤガ類幼虫の発生数や茎葉の被害を低減できた。通常の栽培ではヤガ類に対して2回程度薬剤防除を行っているが、本技術の利用によってヤガ類に対する薬剤防除は必要なくなると考えられた。
②冬キャベツでは、ヨトウガなど6種類のヤガ類の発生を抑制した。しかし、コナガやモンシロチョウに対しては効果がなかったため、環境に優しいとされる生物農薬(BT剤)の5回散布を併用したところ、従来の防除(化学農薬6回散布)と同程度の可販率(出荷販売できる割合)を得られた。
③冬レタスでは、オオタバコガ、ハスモンヨトウの発生を抑制し、さらにオオタバコガの防除適期である結球始期-肥大期の化学農薬2回散布を組み合わせた防除は、従来の防除(化学農薬4回散布)と同等の可販率が得られた。
本方法は環境にやさしく、また、大区画の露地圃場に対応した技術であるため、諫早湾干拓地などで行っている減化学農薬栽培を促進する効果が期待される。


黄色高圧ナトリウムランプ
(長崎県農林技術開発センター環境研究部門病害虫研究室主任研究員 高田 裕司)



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