おいしいお茶 生産技術を開発
2010年(平成22年)2月7日
茶はこれまで、窒素肥料を与えれば与えるほど良い品質のものが収穫できるとされてきた。しかし、過剰な施肥を行うと茶樹に吸収されない余剰な窒素成分が流れ出し、環境への負荷となることから、窒素肥料の削減に向けた動きが進んでいる。
農林技術開発センター茶業研究室では、環境負荷を軽減し、環境に優しい茶を生産するために、肥料中の窒素成分を削減する研究に取り組んでいる。今回、一番茶の生育時期に環境に優しく速やかな窒素吸収が期待される有機質の液体肥料(有機液肥)を使用することで、窒素成分を約2割減らしても収量や品質を維持・向上できる技術を開発したので紹介する。
お茶のうま味の成分は窒素が基となっており、「窒素成分を削減すると、お茶の収量や品質を低下させるのではないか」という心配がある。そこで、一般的な施肥量の茶園(年間窒素成分量55s/10e)施肥量を減らした茶園(年間窒素成分45s/10e)を設定して試験した。
@「芽出し肥」に有機液肥を使用
一番茶のうま味や収量を増やすために、春先に「芽出し肥」を与える。一般的には固形の無機化学肥料である硫安を使用するが、肥料は土壌中の水分により溶け出さなければ茶樹には吸収されない。そこで、より効率的に茶樹に肥料を吸収させるため、「芽出し肥」に有機液肥を使用した。その結果、一般の「芽出し肥」として硫安を投入したものと比べ、窒素成分が2割少ない有機液肥を使用した場合、年間の窒素成分量が少ないにもかかわらず、一番茶の収量は多くなった。また、品質を示す指標の一つである、お茶の中の全窒素含量(多いほど良い)や粗繊維含量(少ないほど良い)は従来とほぼ同程度となった=表1=
A乗用型防除機の利用=写真1=
液肥を散布する場合、これまでは液肥を入れた大きなタンクを茶園の近くに設置し、長いホースを引っ張りながら散布していた。これは労力的にも時間的にも非常に大きな負担であった。そこで、お茶専用の乗用型防除機を活用することにした。乗用型防除機は本来病害虫防除のための専用機械であるが、一番茶生育の時期には使用しないため、機械を有効活用できる。
この機械を利用することで、10e当たり1時間程度で散布でき、また1人で作業できるため、効率的で省力化できる。
B茶樹の根元付近への液肥散布=写真1=
茶樹は列状に植えつけ、低木で枝が密生しているため、通常は通路の部分に肥料を投入する。今回の液肥の散布方法は液肥散布用のアタッチメントノズルを自作して乗用型防除機に取り付け、効率的な吸収が期待できるが、普段は肥料を投入することのない、お茶の樹の根元付近に集中して散布するように工夫した。
このように、一番茶の「芽出し肥」に有機液肥を使用することにより、化学肥料の施肥量を減らしても収量や品質を維持・向上することができた。
生産現場では、すでに個人が所有している機械の種類などに合わせて独自の工夫をしながら、普及が進んでおり、環境に優しい茶業経営を実践中である。


(長崎県農林技術開発センター農産園芸研究部門茶業研究室 主任研究員 野田 政之)



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