ハウスモモ オキナワ台木で安定生産
2009年(平成21年)12月20日
降雨の多い西南暖地でのモモ栽培は、露地では品質的に不安定であるが、ハウス栽培により高品質果実の安定生産が可能となった。長崎県でも1992年ごろからハウスモモ栽培が導入され、現在の栽培面積は約14fで山梨県に次ぐ全国第2位までに拡大した。
モモは、冬期に成長を休止した後、一定時間の低温期間(低温遭遇時間)を経過すると覚醒(かくせい)、気温上昇とともに発芽し開花する。現在、一般的に流通しているモモは同じ樹種の種をまいてできた苗を台木(だいぎ)に用いて接ぎ木しているが、その場合、目覚めるために必要な7.2度以下の低温遭遇時間は800時間以上である。
また、ハウスモモ栽培は、加温やビニール被覆による保温で人為的に気温を上昇させ発芽を促すが、近年の気候温暖化の影響により、低温遭遇時間が足りない状態で加温を開始すると開花不良により収穫量が減少したり、十分な日数をかけ低温遭遇時間を充足させると出荷が遅れるなどの問題が発生している。
このため、農林技術開発センター果樹研究部門では、沖縄県在来の赤葉(あかば)系花モモ「オキナワ」を台木に用いることで、休眠覚醒に必要な低温遭遇時間を約600時間と短くできることを明らかにした=グラフ=これにより暖冬の悪影響を受けにくく、通常台木より加温開始を2週間早めることができるようになる。
また、オキナワ台木のモモ栽培については、開花・成熟期、果実品質、樹勢などの栽培特性が明らかになっていなかったため、モモ品種「日川白鳳(ひかわはくほう)」をオキナワ台木と通常台木に接ぎ木したものを比較し、特性を明らかにした。
800時間低温遭遇後無加温栽培した開花・成熟期を比較したところ、オキナワ台木と通常台木ではほぼ同じとなった。果実重・着色歩合・糖度については、低温遭遇時間を600時間に短縮し加温栽培したオキナワ台木と、800時間低温遭遇後無加温栽培した通常台木とでは品質に差はなかった=表=。またオキナワ台木は新しい枝も中程度のものが多く、樹高は低くなり、栽培管理作業がやりやすい。
このように、オキナワを台木に使うと、温暖な年でも通常台木と遜色(そんしょく)ない品質のモモを早く出荷できるため、収益向上が期待される。併せて、経営の一部にオキナワ台木のモモを組み入れると収穫期などの作業が分散され、規模拡大や出荷期間の拡大などのメリットも見込まれる。
今後も多くの方にハウスモモをはじめとしたおいしい県産果実を提供できるよう本県果樹の高品質安定生産技術の確立に取り組んでいきたい。



オキナワ台木「日川白鳳」の果実
(長崎県農林技術開発センター 果樹研究部門 主任研究員 田中実)



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