家畜排せつ物の窒素低減 採卵鶏用の飼料見直す
2009年(平成21年)10月4日
本県では、温暖な気候や複雑な地形などの自然条件を生かしながら、農産・園芸・畜産などの農業が展開されており、このうち畜産については農業産出額の3分の1を占める重要な部門である。また、近年の県民の環境意識の高まりの中、環境に配慮した持続可能な農業への取り組みが進められ、畜産業においても、行政と畜産事業者団体が一体となり、家畜排せつ物の適正管理および良質堆肥(たいひ)の生産と利用の促進が図られている。
このため、農林技術開発センター畜産研究部門では、低コストで家畜排せつ物に含まれる窒素を低減する技術の確立に取り組んでいる。具体的には、採卵鶏用飼料の栄養成分をアミノ酸レベルで見直し、できるだけ低いタンパク質含量に設計した飼料(以下、低タンパク質飼料)を採卵鶏に給与することで鶏ふん中に排出される窒素量を低減しようとする試みである。
採卵鶏に低タンパク質飼料を給与すると、鶏の週齢や給与する季節にかかわらず、鶏ふん中に排出される窒素量は、20〜30%低減できることが確認された=図=。
また、飼料成分を変化させると卵質への悪影響が懸念されるが、低タンパク質飼料の給与は、ハウユニット(卵の盛り上がり)や卵殻強度(殻の硬さ)などの卵質には影響を及ぼさなかった。
しかし、暑熱によるストレスが大きいと思われる夏季や鶏体が発育を続けながら産卵が旺盛になる産卵初期から最盛期にかけては、低タンパク質飼料による影響で産卵率や卵重の低下が認められた。産卵性の低下は養鶏経営に多大な影響を及ぼすことから、現在は産卵初期から最盛期にかけて通常の採卵鶏飼料を給与し、採卵後期に低タンパク質飼料を給与する期別給与の効果についても検討している。
施設や機械を導入することなく栄養成分のに見直しだけで家畜排せつ物に含まれる窒素負荷を低減する技術は、有効な家畜における環境対策の1つと思われる。
今後は、窒素負荷低減の効果とそれに伴うコストを試算して地域へ情報提供し、環境保全にかかるコスト負担のあり方を検討する際の一助となるよう研究を進めていきたい。

低タンパク質給与による卵の卵質検査

採卵鶏 1羽当たりの排せつ窒素量

(長崎県農林技術開発センター畜産研究部門中小家畜・環境研究室 主任研究員 嶋澤光一)



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