新聞報道

スモモ安定生産目指す 雨よけ平棚栽培で大玉果実

2009年(平成21年)6月7日

スモモは、古くから初夏の果実として親しまれているが、成熟時期が梅雨と重なり、水分の過剰吸収による裂果や腐敗、強風による傷果などが発生し、市場へ出荷されることが少なかった。そこで、農林技術開発センター果樹研究部門では、スモモの安定生産を目指し、雨よけ平棚栽培での大玉果実生産技術の研究に取り組んだ。

雨よけ平棚栽培とは、園主の身長よりやや高い位置に組んだ平棚とビニール被覆を組み合わせた栽培法で、従来の露地での立木栽培※1に比べ、降雨による裂果や風傷被害が軽減でき、また、枝を誘引することで花芽の着きや結実性も向上し、大玉果実の安定生産が期待出来るというものである。以下、雨よけ平棚栽培で、大玉果実を安定生産させるためのポイントを示した。

※1 立木栽培・・・従来、スモモは2本の主枝を斜めにまっすぐ伸ばした開心自然形の支柱や棚を使わない立木仕立てで栽培されていた。立木だと枝が立ちやすく、新梢の徒長や花芽着生不良、着果不足になりやすい。また、樹高が高くなりすぎ、作業効率も悪かった。

@効率的な受粉樹の組み合わせ

スモモは、ほとんどの品種が交配親和性のある他品種の花粉を受粉しないと結実が安定しない。受粉のためだけに品質の劣る品種を植栽するとスペースの無駄となる。そこで、熟期の異なる優良品種「りょうぜん早生」「李王(りおう)」「太陽」での相互受粉を調査した。すると、「李王」を花粉親とすることで、「りょうぜん早生」「太陽」の結実が安定し、反対に、「李王」は「りょうぜん早生」または「太陽」の花粉でよく結実する事が分かり、特別に受粉樹を植えなくてもこの3品種間の人工授粉で、十分な結実量を確保できることが明らかとなった。ほかにも交配親和性のある熟期の異なる品種を組み合わせることで6月から8月まで甘く新鮮な果実を連続して出荷できる。なお、近年テレビなどで取り上げられる大玉の品種「貴陽(きよう)」については、現在のところ受粉樹として利用可能な品種は「ハリウッド」だけであり、結実率も10%程度と低い。

収穫を間近に控えたスモモ「りょうぜん早生」

A大玉果実生産のための摘果

人工授粉を行った場合、多くの果実が着果するため、大玉果実生産のためには早い時期からの摘果が重要となる。摘果の時期と目安は、満開から30日ごろまでに1回目の摘果を終え、50日目ごろまでには仕上げ摘果を行い1平方メートル当たり20果程度とする。

B新梢(しんしょう)管理

平棚仕立てでスモモを栽培する場合、棚面に新梢(新しい枝)が多く発生する。新梢をそのまま放置すると、棚下が暗くなり、光合成が抑制されて果実肥大や果実品質の低下を招く。そのため、不要な新梢の徹底した除去が必要となる。特に、大きい枝の背面から発生する新梢はすべて除去し、棚下が暗くならないように管理することで、高品質で大玉のスモモ果実の生産が可能となる。

県内では経営の安定化、収益性向上を目指してスモモ栽培に取り組む生産者が増えている。果樹研究部門では引き続き県内でのスモモの産地化に寄与できるよう、スモモの新品種の試験栽培や交配適応性の研究、大果生産技術の確立などに取り組んでいく。なお、長崎産のスモモは6月から8月が旬の甘くおいしい夏果実である。ぜひご賞味いただきたい。

(長崎県農林技術開発センター 果樹研究部門 ビワ・落葉果樹研究室主任研究員 松浦 正)