台風21号襲来に伴う農作物風水害に対する
                 事前・事後対策技術について

 平成16年9月28日8時発表の気象庁台風状況によれば台風21号は9月29日午前中に長崎県に接近する可能性が高いので、今後の台風情報に十分注意し、下記の対策指導をお願いします。

                                    記

1.普通作物

【普通期水稲】
  (1)台風襲来中は深水にし,倒伏及び損傷防止に努める。

 (2)排水路を整備し、冠水を防止する。

 (3)用排水路が破損した場合、緊急に水路を整備する。なお、早急に整備が出来ない場合は仮設水路を設ける等して、出穂後40日程度まで湛水できるような対策を講じる。

 (4)冠浸水した場合は速やかに排水を図る。
   なお、濁水の冠浸水があった場合は、排水と同時に稲に付着した土をできるだけ洗い落とす。

  (5)海水が流入した場合は、排水と同時に多量の水を掛け流しする。また、潮風の場合は、稲に着いた塩分を清水で洗い流す。

  (6)倒伏などにより圃場内で登熟にばらつきがある場合は、極力別刈りを行い品質の安定化に努める。

【大豆】
 (1)落莢などを防止するため、降雨後滞水しないように、ほ場周囲の排水溝の点検・補修
   を事前に行う。また、台風通過後に、ほ場に滞水している場合は、速やかに排水する。

 (2)台風通過後は、葉焼病などの発生に注意し、発生を見たら直ちに薬剤防除する。

2.野菜

【共通】

 (1)ハウス・トンネル等の施設は倒壊しないように基礎及び支柱を補強すると共に網、 紐、竹などでビニールの破損防止に努める。また、状況によっては、ビニールを切り   離し、施設の損傷を少なくする。

  (2)ハウス周囲の側溝、排水溝を整備し、雨水の流入、侵入を防ぐ。
     また、ハウス周囲に防風ネットを張る。
  (3)生育初期のものは、株元が動かないように土寄せ、敷きわらをする。

  (4)地上を這うつる性のものは、つる先が傷まないように、ネット等で所々おさえる。

  (5)支柱栽培のものは、支柱の補強結束等を行い、倒状を防止する。
   生育初期のものは、支柱より離し、ネット等で被覆する。台風通過後は、早目に支柱を立て直し、誘引を行う。
  (6)風雨のあとは、特に病害の発生に注意し、薬剤散布を行う。

  (7)準備していた野菜苗は、被害を受けない場所へ移動する。
   移植可能な野菜は補植苗を準備し、欠株した場合は速やかに植え付ける。
   再播種が必要な場合、作型にあった品種選定を行う。

  (8)ほ場が冠水した場合は、排水溝の整備を行うとともに、冠水した水は早急に排除し、根腐れを防止する。

  (9)潮風等を受けた場合は、速やかに清水で洗う。

【いちご】

  (1)高設栽培施設は、パイプ等で補強しベッドの倒壊を防ぐ。

  (2)ハウスの周囲に防風ネットを設置し、直接当たる風を和らげる。

 (3)うねに漁網や寒冷紗などをべたがけし、茎葉の損傷を防止する。  

 (4)定植うねが崩れた場合、土がやや乾燥するのを待ち、再度うねづくりを行う。
     かん水チューブを設置している場合は、チューブによる茎葉の損傷が懸念されるので、チューブ等をはずす。

  (5)台風通過後は、清水で洗い流し、炭そ病等の予防散布を徹底する。

【アスパラガス】

  (1)ハウス内の誘引テープのゆるみをなくし、追加補強を行い株の倒伏を防止する。誘引ネットは、高めの位置に展張し、支柱に結び付けて固定する。

  (2)ハウスの周囲に防風ネットを張り、直接当る風を和らげる。

 (台風通過後の対策)

 (1)倒伏がひどい場合は、全刈りはせず、茎葉を倒したまま新茎を発生させ、展葉した後、
   古い倒伏した茎を切除する。


  (2)倒伏が軽い場合は、一度に起こさず、ゆっくりと時間をかけて茎葉を起こす。
    5〜7日後、黄化した茎葉を切除し、新しい茎と更新する。

  (3)薬剤散布を行い、斑点病等の予防に努めるとともに、あわせて液肥の葉面散布を行い、草勢の回復を図る。

 (4)被害が甚大な場合、夏どり栽培を行わず、翌年春どり栽培の収量確保のための株養成を行う。

【露地野菜】

 (1)根菜類は茎葉の損傷を防ぐために、土寄せを十分行い、株元を固める。
     うねが流された場合は、2〜3日後にうね立てをていねいに行う。

  (2)レタス等の茎葉菜類は、茎葉の損傷を防ぐために寒冷紗等で被覆する。

3.果樹

  (1)防風(破風)垣(網)を補強する。

  (2)果樹棚の補強及び枝の結束、高接ぎ樹の枝の結束を行う。

  (3)収穫期に入っている果樹または収穫期に近いものは事前に収穫する。

  (4)ハウス栽培では施設の補強、ビニールの押えを強化する。また、暴風情報によっては事前にビニールを除去する。

  (5)ハウス栽培では、ハウス内に雨水が流入しないよう、ハウス周囲の側溝、排水溝の整備によって、雨水の排水を行う。

 (6)みかんのマルチ栽培園では、被覆資材の押さえを確認する。

  (7)倒伏した果樹は直ちに引き起こし、支柱を立てる。

  (8)集排水溝の土砂さらえをするとともに、樹の根元の土が流出した箇所には覆土を行う。

  (9)枝折れ、裂傷が生じた場合は切り落とし、傷口癒合剤を塗布する。

  (10)雨後の晴れ間をみて、病害発生予防のため薬剤を散布する。

  (11)潮風を受けた場合は、速やかに清水で洗い流す。

  (12)落葉を生じた場合は、樹勢の早期回復と生産安定のために、残葉数に応じて摘果する。

  (13)落葉が過半数にも及ぶ場合には、日焼け防止のために幹や大枝に日焼け防止剤を塗布する。

4.茶

  (1)茶園周囲に排水溝を掘り、他からの表面水の流入を防ぐ。

  (2)根が露出した場合は、直ちに覆土する。

  (3)潮風を受けた場合は、速やかに樹体に十分量を散水する。

5.花き

  (1)ハウス・トンネル等の施設は倒壊しないように基礎及び支柱を補強すると共に、網、紐、竹などでビニールの破損防止に努める。

 (2)育苗中や初期生育中のものは、寒冷紗によるトンネル及びネット等でベタ掛けを行う。株元が動かないように土寄せ、敷わらをする。

  (3)状況によってはビニールを切り離し、施設の損傷を少なくする。

  (4)風と共に水害対策としてほ場周囲の排水対策に努める。

  (5)風のあとは特に病害の発生に注意し、薬剤散布を行う。又、液肥の葉面散布によって草勢の回復に努める。

  (6)潮風等を受けた場合は、速やかに清水で洗う。

  (7)移植可能なものは、補植苗を準備し、欠株した場合は速やかに植え付ける。

6.畜産

【家畜】

  (1)強風、突風により、畜舎等の倒壊、損傷が懸念されるので、屋根等の補強を実施する
   とともに、畜舎等周辺を十分に点検し、雨水の流入、浸水等がないように排水溝の設
   置を行う。また、電線が畜舎の屋根等(金属部)に接触することがないように対策を講じるとともに通過後、十分な点検を実施し畜舎へ入る。

  (2)浸水、雨漏り等から畜舎内は、高温多湿、不衛生となるので、通過後は速やかに畜舎
   及びその周辺の排水を図り、敷料の多給、空気の入れ替え、排せつ物の頻繁な搬出等
     により、乾燥化を図るとともに消毒を実施する。

  (3)畜舎内外の清掃、消毒を実施し、細菌、ウイルス並びにその媒介物となる害虫、吸血昆虫を駆除するとともに、伝染病の予防注射の励行並びに消化器病、外傷等に注意する。

  (4)酪農経営については、衛生的な搾乳器具の取扱いと搾乳後の生乳の冷却に努める。
    また、停電に備え発電機を確保しておく。

【飼料作物】

  (1)転換畑等の排水不良が懸念されるほ場では、冠水が長く続くと、飼料作物の生育不良、機械作業への支障等を招きやすいので、小排水溝を適宜設置するなどして、地表水の     排除を良好にして、湿害の防止に努める。

  (2)風雨による倒伏は、大幅な収量の減と品質の低下を来すので、早期に刈り取って給与するか、サイレ−ジとして貯蔵へ仕向ける等、臨機応変の措置を取る。
     サイロが不足するようであれば、ビニ−ルスタックサイロ等の簡易なサイロの利用を行い、良質粗飼料の確保に努める。

  (3)天候、被害の程度に応じた迅速な作業が行われるよう、機械の共同利用、共同作業の体制を十分整えておく。

  (4)飼料畑の冠水・表土流失等により、発芽不良や発芽不能が予測される場合は、再播種用の予備種子の確保に努め必要に応じて再播種を行う。

  (5)生育初期の飼料作物については、天候の回復を待って速やかに、中耕、追肥を行い初期生育を促進する。

 九州付近に台風が接近したときは,「ながさき農林業情報システム」の「気象情報」「台風影響シミュレーション」を利用し,台風の予想進路ごとに5kmメッシュの風と降水量 を予測できます.
「ポイント気象予測」とあわせて,気象災害の事前・事後対策にご活用ください.