青年農業者で「イノシシの被害防止対策研修会」を開催
                                                                                                       普及企画班 鴨川主任技師

平成19年1月30日(火)、島原半島地区青年農業者連絡協議会実績発表大会において、長崎県鳥獣害対策専門員の小寺祐二先生を講師として招き、「イノシシの被害防止対策研修会」を開催しました。

  【長崎県鳥獣害対策専門員の小寺祐二先生】
   

小寺祐二先生は東京農工大学大学院で自然環境学を専攻され、建設観光環境研究所、自然環境研究センター、島根県中山間地域研究センターなどに研究員として務められ、これまで主にイノシシ対策について数々の研究成果を発表されています。

 

小寺先生の講演要旨は以下のとおりです。

イノシシが数を増やし、分布域を拡大しているのは全国的な状況で、島原半島では約10年前からイノシシによる農作物被害が出始めています。

イノシシの好む環境は広葉樹林、昔は炭や薪を取っていた森で、近年特に、山に人間が入らなくなったので、よりイノシシだけでなく動物にとって住みやすい環境になっています。
最近では、水田とか畑の耕作放棄、いわゆる雑草地で、生息環境として非常に使いやすい環境になっています。
また、長崎県では竹林みかん園など果樹園の放棄地も好んで利用しています。
イノシシが増えているのは、戦後、以上の4つの環境がイノシシにとって利用しやすい形になってきたからです。

何故被害が発生するかというと、野生動物と人間が同所的に分布し競争的排除の原理が働くからで、分布重複地域で被害が発生します。
すなわち、イノシシが増え分布域が拡大し、イノシシの生息域の自然領域と人間領域が重複し、そこにイノシシの餌となる農作物が栽培されているから被害が発生します。

 
 

被害を防止するためには、同所的分布を解消するか、競争的排除の原理を働かせなくするかです。
野生動物からの被害防止対策としては、4つの方法があります。

   @野生動物の個体数調整(有害鳥獣駆除)
   A野生動物の生息域からの人間の撤退
   B自然領域と人間領域の区分(進入防止柵の設置)
   C被害発生原因の除去(野生動物の被害を受けない農作物の栽培)

イノシシに関しては、進入防止柵の設置が最優先されるべき手段で、個体数調整(有害鳥獣駆除)は野生動物管理においては重要な作業ですが、被害防止の観点では第2の手段と考えられます。
すなわち、イノシシの個体数増加圧は非常に大きく、たとえば、生息数の40%を捕獲しても翌年には125%に増加していたというデータが示すとおり、農作物被害をなくすまでの個体数管理はかなり難しいのが実情です。

進入防止柵を効果的に設置するには、@視覚的遮断(農作物を隠す)A精神的遮断(イノシシの警戒心を高める)B以上2条件を持続させる(柵に隙間はないか、電気柵の場合電圧は低下していないかなど)ことが重要です。

進入防止柵には、トタン板、電気柵など色々ありますが、設置と維持に十分な技術を必要とします。
その中で、忍び返しを施したワイヤーメッシュの進入防止柵が効果が高く、島根県の実験では1回の進入もなかったという結果がでています。

長崎県でも、このワイヤーメッシュによる忍返し柵の普及を図ることにしています。

 【ワイヤーメッシュによる忍返し柵】
 
 
 

○島原半島地域野生鳥獣被害防止対策協議会でイノシシ農作物被害防止対策研修会を開催

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