納付消費税の金額を計算してみましょう! 〜納付消費税の計算と簡易課税と本則課税の比較〜


 平成17年より課税事業者になる方は消費税課税事業者届出書を提出したと思いますが、本則課税にするか簡易課税にするか悩んでいる方も多いようです。
 事業者届出書は平成16年12月までですが、簡易課税の届出書(消費税簡易課税選択届出書)は平成17年12月までに提出すればいいことになっています。
 どちらを選択するかを決めるために、納付消費税額を下記事例により計算してみましょう!!

[申告決算書事例]

科目

金額

科目

金額

収入金額

販売金額

25,194,000

経費

作業衣料費

18,856

家事消費金額

160,000

農業共済掛金

143,496

雑収入(*)

380,000

減価償却費

3,531,062

小計

25,734,000

荷造運賃手数料

5,740,280

棚卸

期首

200,000

雇人費

3,543,800

 

期末

250,000

利子割引料

905,800

25,784,000

地代・賃借料

30,740

経費

租税公課

150,600

土地改良費

9,000

種苗費

2,520,000

事務研修費

36,720

素畜費

 

接待交際費

72,000

肥料費

527,700

固定資産処分損

50,000

飼料費

 

雑費

159,432

農具費

48,000

小 計

20,301,274

農薬衛生費

205,184

棚卸

期首

120,000

諸材料費

322,348

 

期末

150,000

修繕費

566,124

育成費用

0

動力光熱費

1,720,132

20,271,274

 

 

 

差引金額

5,512,726


【簡易課税の場合】

 簡易課税は課税売上のみを計算し、課税仕入はそのうち70%として計算する方法です。
 課税売上は販売金額、家事消費金額、一部非課税・不課税の金額を差し引いた雑収入の合計金額となります。
 棚卸金額は消費税には関係ありません。
 
 雑収入から差し引く主な取引は次のとおり

非課税

不課税

 ・受取地代  ・一般的な補助金・助成金
 (ただし一時使用分は除く)  ・固定資産の処分益
   ・保険金収入(受取共済金)
   

※その他課税売り上げにならないもの
 ・国際取引にいる売上高(免税)


今回、雑収入に上記のものは含まれないとして計算すると

◇課税売上高 = 25,734,000円 ・・・・計算方法は 販売金額+家事消費金額+雑収入

  初めて課税事業者になる方は税込み金額で決算を行っていましたので、この金額には5%分の消費税が加算されています。
 消費税5%を差し引いた金額が課税売上となります。

◇課税標準額 = 24,508,000円 ・・・・計算方法は 25,734,000円÷105%×100%
         (1,000円未満は切り捨て)
 
 課税売上の70%分が経費ですので

◇納付消費税額 = 367,600円 ・・・・・・計算方法は 24,508,000円×(100%−70%)×5%
         (100円未満は切り捨て)
 
正式な計算方法ではありませんが、次のように計算することもできます。

 課税売上高÷105×100×1.5%

※なお実際の申告では地方消費税は差し引いた4%で計算し、その額の25%が地方消費税として処理します。

【本則課税の場合】

 本則課税は課税売上も課税仕入も計算し、その消費税差額を納付する方法です。
 課税売上に関しては簡易課税方式と計算方法は同じですが、課税仕入は経費を細かく分類し非課税・不課税金額を差し引く必要があります。
 また当年に取得した償却資産は課税仕入対象となります。なお棚卸金額、育成費用金額は消費税には関係ありません。

非課税

不課税

 ・支払地代  ・租税公課
 ・共済掛金   賦課金、組合部会費、登記 
 ・価格安定基金等の掛金   登録料、農用固定資産税等
 ・雇用賃金  ・拠出金(とも補償等)
  (まかない費・通勤手当は課税仕入)  ・接待交際費のうち慶弔費
 ・減価償却費  ・固定資産処分損
 ・利子割引料(支払利息)  
 ・商品券(金券)  
 ・預託経費のうち輸送保険料  
 ・行政手数料  
 ・土地改良費のうち経常賦課金・共益費  
   


※その他課税仕入にならないもの
 ・荷造り運賃手数料のうち国際運賃(免税)
 ・事務研修費のうち国際通信・国際郵便料金(免税)
 ・種苗費・素畜費・肥料費・飼料費などの自給分
 ・損害賠償金


今回、地代賃借料にうち小作料20,000円、接待交際費にうち慶弔費10,000円が含まれるとして計算すると

科目

 

決算額 @

課税取引に該当しない
取引と金額 A 

課税取引金額
B(@−A)

消費税額 C
B÷105×5

課税売上

 

 

 

 

 

 

販売金額

1

25,194,000

 

25,194,000

1,199,714

家事消費金額

2

160,000

 

160,000

7,619

雑収入

3

380,000

受取地代

0

380,000

18,095

 

 

補助金・助成金

0

 

 

固定資産処分益

0

期首棚卸(−)

4

200,000

 

200,000

0

0

期末棚卸

5

250,000

 

250,000

0

0

6

25,784,000

450,000

25,734,000

1,225,429

課税仕入

 

 

 

 

 

 

租税公課

7

150,600

 

150,600

0

0

種苗費

8

2,520,000

 

2,520,000

120,000

素畜費

9

0

 

0

0

肥料費

10

527,700

 

527,700

25,129

飼料費

11

0

 

0

0

農具費

12

48,000

 

48,000

2,286

農薬衛生費

13

205,184

家保行政手数料等

0

205,184

9,771

諸材料費

14

322,348

 

322,348

15,350

修繕費

15

566,124

 

566,124

26,958

動力光熱費

16

1,720,132

 

1,720,132

81,911

作業衣料費

17

18,856

 

18,856

898

農業共済掛金

18

143,496

 

143,496

0

0

減価償却費

19

3,531,062

 

3,531,062

0

0

荷造運賃手数料

20

5,740,280

輸送保険料

0

5,740,280

273,347

雇人費

21

3,543,800

3,543,800

0

0

利子割引料

22

905,800

 

905,800

0

0

地代・賃借料

23

30,740

小作料

20,000

10,740

511

土地改良費

24

9,000

経常賦課金・共益費

0

9,000

429

事務研修費

25

36,720

 

36,720

1,749

接待交際費

26

72,000

商品券等

0

62,000

2,952

 

 

 

慶弔費

10,000

固定資産処分損

27

50,000

 

50,000

0

0

雑費

28

159,432

拠出金等

0

159,432

7,592

期首棚卸

29

120,000

 

   120,000

0

0

期末棚卸(−)

30

150,000

 

   150,000

0

               0

育成費用

31

0

 

        0

0

               0

※償却資産取得

32

0

 

0

0

33

20,271,274

 

8,624,758

11,946,516

568,882

差引・納税額 (6)−(33)

34

5,512,726

 

8,174,758

13,787,484

656,547


◇納付消費税金額 656,547円 

  
なお実際は課税標準額で1,000円未満は切り捨て、課税仕入税額で1円未満切り捨て、納付税額で100円未満は切り捨てとなりますので
  1,225,000円 − 568,882円 = 656,100円


※なお申告では地方消費税は差し引いた4%で計算し、その額の25%が地方消費税として処理します

【簡易課税と本則課税の比較】


 この経営事例では所得の割合(所得率)は約21%とかなり経費がかかる経営ですが、納付消費税額は簡易課税では367,600円、本則課税では656,100円と簡易課税の方が有利となります。

これは経費のうち減価償却費や雇人費、利子割引料など課税仕入れとならない経費が約798万円と多いからです。

このように所得率が低い経営として施設園芸、畜産があげられますが、減価償却費や雇人費の割合が多い場合は、一般的に簡易課税方式の方が有利となります。


なお本則課税の場合、償却資産の取得は課税仕入対象となります。

簡易課税での課税仕入は25,734,000円×70%=18,013,800円、本則課税での課税仕入は11,946,516円ですので、その差額約600万円の資産取得をした場合、ほぼ同じ納付消費税額となります。
簡易課税を選択すると2年は変更できませんので、その2カ年のどちらかにでも大きな投資を考えている方はこのような計算をしてどちらを選ぶかを決めてみてはいかがでしょうか?
 

みなさんも自分の申告決算書から納付消費税額を計算してみましょう!  <課税取引計算諸様式はこちら(PDF)>

※今回触れていない点やその他詳細な点は最寄りの税務署等におたずねください。

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