台風18号襲来に伴う農作物、畜産の風水害に対する事前、事後技術対策について
平成21年10月6日発表の気象庁台風情報によれば、台風18号は九州地方に接近する可能性があり、接近した場合には農作物へ及ぼす影響が甚大と予想されます。今後の台風情報に十分注意し、下記の対策指導をお願いします。
また各関係機関におかれましては、影響が予想される場合は防災無線などの広報を通じて、周知を図って頂きますようお願いします。
記
1.稲
(1)成熟期を迎えている水稲については、可能な限り台風襲来前の刈取りを行なう。
(2)黄熟期の水稲については、台風通過前後は深水にし、フェーン現象による穂の乾燥防止や倒伏及び籾の損傷防止に努める。
(3)収穫期直前の水稲で挫折倒伏した場合は、早急に排水を図るとともに、穂先を水面から上げるようにし、穂いもち病や穂発芽の発生等による品質低下を防ぐ。
(4)冠水した場合は速やかに排水を図る。濁水の冠浸水があった場合は、排水と同時に稲に付着した土をできるだけ洗い落とす。
(5)潮風による塩害が発生したときは、稲体に付着した塩分を真水で洗い流すとともに早めの収穫に努める。
2.野菜
【共通】
(1)ハウス・トンネル等の施設は倒壊しないように基礎及び支柱を補強すると共に網、 紐、竹などでビニールの破損防止に努める。また、状況によっては、ビニールを剥 ぎ(切り離し)、施設本体の損傷を少なくする。
(2)ハウス周囲の側溝・排水溝を整備し、雨水の流入、侵入を防ぐ。
(3)支柱栽培のものは、支柱の補強・結束等を行い、倒状を防止する。
生育初期のものは、支柱より離し、べたがけ資材等で被覆する。
(4)葉菜類、根菜類など、潮風害を回避するため、べたがけ資材等で被覆する。
(5)ほ場の排水溝の整備を行い、冠水した場合は水を早急に排除し、根腐れを防止する。
(6)潮風等を受けた場合は、速やかに真水で洗う。
(7)風雨のあとは特に病害の発生に注意し、薬剤散布を行う。
(8)移植可能な野菜は補植苗を準備し、欠株した場合は速やかに植え付ける。
(9)風害等により草勢が弱った場合には液肥の葉面散布を行い、草勢の回復を図る。
【いちご】
(1)ハウスの周囲に防風ネットを設置し、直接当たる風を和らげる。又は漁網や寒冷紗 をべたがけし、茎葉の損傷を防止する。
(2)本圃(地床栽培)は、通路等に水が溜まらないように排水溝等を設置するなど、ほ場内の排水に努める。
(3)設置した灌水チューブは強風により株を損傷するので取り外す。
(4)高設栽培では株及び灌水チューブごと漁網や寒冷紗などで覆い、ハウスバンド等 で栽培槽ごと固定する。
(5)高設栽培においては、パイプ等で補強しベットの倒壊を防ぐ。特に栽培槽を支持す る支柱を畦方向に対し垂直に直管パイプで連結すると強度が高まる。
(6)栽培槽が水であふれると培土が流れ出るので排水弁は開放しておく。中央にも排水 弁がある場合にはその弁も開放しておく。
(7)親株用・補植用のポット苗は、コンテナ等に回収し、倉庫等で保管するか、圃場(地床・高設床)では、なるべく寄せ集め、漁網や寒冷紗などをべたがけ・固定し、茎葉の損傷を防止する。
(8)台風通過前後は、病害防除のために薬剤散布を徹底する(特に通過後は風雨が弱ま りしだい速やかに散布を行う)。また、潮風等を受けた場合は、速やかに真水で洗 う。
(9)基本的に何時如何なる場合も炭疽病発病株は早急に除去するが、台風通過時の風雨 により感染が拡大するので、台風通過前の本圃に炭疽病発病株が無いように除去を 徹底する。
(10)定植うねが崩れた場合、土がやや乾燥するのを待ち、再度成畦する。
【アスパラガス】
(1)風がハウス内に入り込まないように、妻面・側面・谷部をしっかり閉めてハウスバンドを再度しめなおす。
(2)ビニールが剥げたり、剥いだりした場合でも親茎が絶対に倒伏しないように、支柱を地中に充分打ち直すなどして強く固定する。誘引ネットは、親茎の高めの位置に展張し、支柱に結び付け、強く固定する。また、ハウス施設が倒壊する恐れがある場合は、ビニルを剥ぎ(切り離し)、親茎を地際部から切り、りん芽群を守る。
(3)ハウスの周囲に防風ネットを張り、直接当たる風を和らげる。
以下、台風通過後の対策(ビニールが剥げたり、剥いだりした場合)
(4)倒伏が軽い場合は、ゆっくりと時間をかけて親茎を起こす。
(5)倒伏が激しい場合は、無理に親茎を引き起こさず、そのままの状態で管理し、黄化後、地際部より切除する。黄化前の茎葉の整理(除去)は、防除や収穫作業に支障がある茎葉にとどめる。
萌芽してくる新茎への更新は養分消耗が大きいため行わず、全て収穫する。
(6)潮風等を受けた場合は、速やかに真水で洗う。
(7)褐斑病、茎枯病などの病害防止のため、薬剤散布を行い、予防に努めるとともに、 あわせて液肥の葉面散布を行い、草勢の回復を図る。また、速やかにビニールを再 被覆して雨除けを行う。
3.果樹
(1)防風(破風)垣(網)を補強する。
(2)果樹棚の補強及び枝の結束、高接ぎ樹、幼木の支柱立てを行う。
(3)収穫期に入っている果樹または収穫期に近いものは事前に収穫する。樹上に残し
雨を受けたものについては、台風通過後に腐敗対策として、薬剤を散布する。
(4)ハウス栽培では施設の補強、ビニールの押えを強化する。また、暴風情報によって は事前にビニールを除去する。
(5)ハウス栽培では、ハウス内に雨水が流入しないよう、ハウス周囲の側溝、排水溝の 整備によって、雨水の排水を行う。
(6)みかんのマルチ栽培園では、被覆資材の押さえを確認する。
(7)潮風害が予想される地域においては、事前に雨水等の潅がい水を確保しておき、
潮風を受けた場合は、速やかに真水で洗い流す。
(8)倒伏した樹については、健全な根を切断しないようにできるだけ早く引き起こし、 支柱を添えて固定する。
(9)集排水溝の土砂さらえをするとともに、樹の根元の土が流出した箇所には覆土を行 う。
(10)枝折れ、裂傷が生じた場合は切り落とし、傷口癒合剤を塗布する。
(11)台風通過前後に、かんきつのかいよう病、びわのがんしゅ病対策のため、薬剤を散布する。
(12)落葉を生じた場合は、樹勢の早期回復と生産安定のために、残葉数に応じて摘果 する。
(13)落葉が過半数にも及ぶ場合には、日焼け防止のために幹や大枝に日焼け防止剤を 塗布する。
4.茶
(1)防風柵や防風ネットの設置や補強を行う。
(2)秋整枝の時期が近いので、秋芽が伸びている場合は1回目の整枝を早めに行い樹高を低くする。特に幼木は仕立てに支障のない範囲で低く切り戻す。
(3)茶園周囲の排水溝を清掃整備し、他からの表面水の流入を防ぐ。
(4)台風通過後速やかに、倒伏した幼木は動く範囲で引き起こし根本を固める。株元に穴が開き根が露出した場合は、土寄せ覆土して敷き草を補給し地際部や根を保護する。根の損傷の激しい株は、枝葉を切り戻し水分の蒸散を抑制する。
(5)風雨による葉ずれ、葉傷みが激しい場合は輪斑病や赤焼病の発生に注意し、台風通過後早めに秋整枝による障害部の剪除と予防のための殺菌剤を散布する。
(6)潮風を受け、葉に塩分を認めた場合は、速やかに樹体に十分量を散水し洗い流す。
5.花き
(1)ハウス等の施設は倒壊しないように基礎及び支柱を補強すると共に、網、紐などでビニールの破損防止に努める。
(2)状況によってはビニールを切り離し、施設の損傷を少なくする。
(3)排水溝等を設置するなど、ほ場内の排水に努める。
(4)風雨のあとは特に病害の発生に注意し、薬剤散布を行う。また、生育を見ながら、液肥の葉面散布等によって草勢の回復に努める。
(5)潮風等を受けた場合は、速やかに真水で洗う。
(6)移植可能なものは、補植苗を準備し、欠株した場合は速やかに植え付ける。
6.畜産
【家畜】
(1)強風、突風により、畜舎等の倒壊、損傷が懸念されるので、屋根等の補強を実施す るとともに、畜舎等周辺を十分に点検し、雨水の流入、浸水等がないように排水溝 の清掃と設置を行う。
(2)浸水、雨漏り等から畜舎内は、高温多湿、不衛生となるので、通過後は速やかに畜 舎及びその周辺の排水を図り、湿った敷料の交換、空気の入れ替え、排せつ物の搬 出等により、乾燥化を図るとともに消毒を実施する。
(3)畜舎内外の清掃、消毒を実施し、細菌、ウイルス並びにその媒介物となる害虫、吸 血昆虫を駆除するとともに、消化器病、外傷等異常家畜の早期発見と観察に努める。
(4)酪農経営においては、発電機の準備と、衛生的な搾乳器具の取扱い、搾乳後の生乳の冷却保存を励行し衛生管理に努める。
【飼料作物】
(1)転換畑等の排水不良が懸念されるほ場では、冠水が長く続くと、飼料作物の生育不 良、機械作業への支障等を招きやすいので、小排水溝を適宜設置するなどして、地 表水を早期に排除して、湿害の防止に努める。
(2)風雨による倒伏は、大幅な収量の減と品質の低下をきたすので、収穫適期に近いものは、早期に刈り取って給与するか、サイレ−ジとして貯蔵へ仕向ける等の措置を取る。
再生の状況を確認し、再生が劣るようであれば、イタリアン等冬作の早期作付も検討する。
(3)天候、被害の程度に応じた迅速な作業が行われるよう、機械の共同利用、共同作業 の体制を十分整えておく。
(4)冬作播種後、飼料畑の冠水・表土流失等により、発芽不良や発芽不能が予測される場合は、再播種用の予備種子の確保に努め必要に応じて再播種を行う。