日照不足に伴う農産物等の対策技術について
長崎海洋気象台発表の気象情報によれば、長崎県では7月以降日照時間が少なくなっており、今後の1〜2週間も晴れる日があるものの、日照時間が平年より少ない見込みです。
今後の気象情報に十分注意し、下記の対策指導をお願いします。
記
1.普通作物
【普通期水稲】
(1)日照不足により葉身が長くなるなど軟弱徒長気味に生育している圃場では、紋枯病や稲熱病の発生も多くなることが予想されるので、穂揃い期には必ず防除を実施する。
(2)耕種的な対策として、畦畔の草刈り等により風通しを良くする等の環境整備に努める。ただし、出穂期以降の畦畔の草刈はカメムシの侵入を助長するので出穂期前に実施する。
水管理は平坦部の水温が高くなるところでは掛け流しによる潅水を行い、山間部等の冷や水掛りの水田では間断潅水により灌漑水温の向上に心がけ適正な水管理に努める。
(3)葉色が濃く推移している場合には、出穂期10日前に施用する穂肥量を減らすか、出穂期前までに2回に分けて施用する。特に、いもち病・紋枯病等の発生が見られる場合は控える。
2.野菜
【野菜共通】
(1)施設等で育苗中の野菜は、軟弱徒長とならないように、天候に応じて灌水(量・間隔)を加減するとともに、育苗トレイやポットの間隔を確保し、採光に努める。また、昇温対策としての遮光資材は、曇雨天日は開放する。
(2)草勢低下が著しい場合は、液肥や葉面散布により回復を図る。
【施設野菜共通】
(1)日照不足の条件下では、軟弱徒長気味の生育となり、生育・着果不良の発生や病害が多発しやすいので、天候の推移と生育状況に十分留意して管理を行う。
(2)施設内は、多湿状態にならないよう換気(換気扇・循環扇等)に努めるとともに灌水(量・間隔)を加減する。また、昇温対策としての遮光資材は、曇雨天日は開放する。
(3)天候回復後の高温・強日射は葉焼け等の障害を招くことがあるので、十分な換気(側部・谷部や換気扇・循環扇等)と遮光資材等の使用による昇温抑制対策を行う。
(4)高温時の薬剤散布は、薬害を誘発しやすいの注意する。
【いちご】
(1)炭疽病にかかった苗はすべて除去する。
特に「さちのか」で葉面に汚斑状斑点等の症状が見られる場合は廃棄し、その周囲の株も廃棄する。
(2)炭疽病の感染・拡大防止の為、薬剤のローテーション散布を行う。
(3)灌水時間、量の調整には注意し、夕方には茎葉、鉢土が乾いている状態にする。茎葉の濡れ時間が長いと菌が浸入しやすいので、決してかけすぎないようにする。
(4)傷口から病原菌が侵入しやすいので、クラウン部にできるだけ傷をつけない。
葉かぎの回数は定植まで2回程度とする。
葉かぎはハカマがクラウン部に残らないように丁寧に行い、葉かぎした分の苗は必ずその日のうちに薬剤防除を行う。
(5)これまでの降雨で肥料が流亡している恐れがある場合は、体内窒素レベルを計った うえで適宜、葉面散布を行う。また、根傷み時は体内窒素が低くなり、その後、白根の発根と共に体内窒素が高くなる場合があるので、根部の状態に注意する。
(6)苗は軟弱徒長とならないように適正株間を確保する(20cm×20cm)。
棚育苗の場合は9条×12列(1金網当たり108鉢標準)。
風通しが悪い育苗圃場は標準より株間を広く確保する。
寒冷紗等の展張など遮光下の育苗で、葉の厚さが薄い場合は一週間程度寒冷紗等を除去し、日光にあて充実した苗となるようにする。
3.果樹
【果樹共通】
(1)園内外の排水路、排水溝の整備を行う。
(2)防風樹の刈り込みなどにより、園内の通風を良くする。
【みかん】
(1)果実の肥大に遅れが見られる場合は、着葉数に応じた適正な摘果を実施する。
(2)マルチ被覆園では、果実肥大や品質及び土壌の乾燥状態を確認し、糖度の上昇が不十分な園では晴天日にマルチをはぐって土壌乾燥を促進する。
(3)累積降雨量や散布間隔を考慮し、晴れ間をみて黒点病の防除を徹底する。枯れ枝は重要な伝染源になるので、剪除する。
(4)ハウスみかんで夏季せん定を実施し新梢の緑化が遅れている園では、緑化促進のため葉面散布を行う。
【びわ】
(1)新梢の充実、花芽形成促進のため、リン酸系の葉面散布を行う。
(2)がんしゅ病、ナシマルカイガラムシの防除を徹底する。
【落葉果樹】
(1)病害虫防除を徹底し、早期落葉防止に努める。
(2)主枝の背面から出て花芽が着生しにくいような徒長枝等については、段階的にせん定を実施し、日照量の確保につとめる。
4.茶
(1)炭疽病、輪斑病等病害の発生が予想されるため、秋芽、更新園等の新梢に対して、整枝後と萌芽〜開葉期に防除をする。さらに、その後の葉の展開に併せて、薬剤の定期的な散布を行う。
(2)秋肥の分施での1回目を早めに施肥して樹勢の回復を図る。
計画的な深耕で根の若返りを図る。
5.花き
【花き共通】
(1)長雨・日照不足の条件下では、軟弱徒長気味の生育となり、生育不良、生理障害の発生や病害が多発しやすいので、天候の推移と生育状況に十分留意して管理を行う。
(2)施設内は、多湿状態にならないよう換気(換気扇・循環扇等)に努めるとともに灌水(量・間隔)を加減する。
(3)天候回復後の高温・強日射は葉焼け等の障害を招くことがあるので、十分な換気(側部・谷部や換気扇・循環扇等)と遮光資材等の使用による昇温抑制対策を行う。
(4)高温時の薬剤散布は、薬害を誘発しやすいの注意する。
6.畜産
【家畜飼養管理】
(1)水害又は長雨によって畜舎内は高温多湿となり、また、畜舎への浸水、雨漏り、流失等が起こるため、畜舎及びその周辺の排水を図り敷料の増加、空気の入替え、排泄物の頻繁な搬出等により乾燥化を図るとともに、畜舎内外の消毒を実施する。また、運動場の排水も行い乾土化に努める。
(2)畜舎内外の清掃、消毒を行い、細菌、ウイルス並びにその媒介物となる害虫、吸血昆虫を駆除するとともに、伝染病の予防注射の励行並びに消化器病、外傷等に注意する。
(3)日光浴と畜体の綿密な手入れ(ブラッシング)による畜体の新陳代謝の促進と皮膚病の予防に努める。
(4)乳房炎の防止を図るため、衛生的な搾乳器具の取り扱いに努める。
(5)変敗又はかびの発生した飼料は給与しないこと。
【飼料】
(1)保管中の飼料については、床面の浸水に対する排水の促進と床面の乾燥化を図る。また、飼料庫の換気に努め、飼料の湿害、虫害、変敗、カビ発生の防止を図る。
(2)飼料畑については、長雨、水害によって飼料作物の茎葉は軟弱に生育し、倒伏しやすいので、十分にほ場周囲の排水溝を掘り、乾土化に努めるとともに、中耕培土、追肥を実施して生育促進を図る。
倒伏又は湿害等により生育の見込みがないものは、早期に刈り取り給与するか又はサイレージ、乾草等の貯蔵飼料として利用する。また、発芽不良や再生見込みがない場合は再播種するか、8月下旬にエンバク・イタリアンの混播を行う。