低温、霜害に伴う農作物の事前・事後技術対策について
気象庁の低温に関する異常天候早期警戒情報によると、4月下旬から約1週間、九州北部地方で平年より平均気温がかなり低い確率が30%以上と見込まれ、農作物の生育の遅れや霜害が発生する恐れがありますので、今後の気象情報に十分注意し、下記の対策指導をお願いします。
また各関係機関におかれましては、防災無線などの広報を通じて、周知を図って頂きますようお願いします。
記
1.水稲
(1)育苗中の苗については、気温の変化に留意し、育苗ハウスの加温や育苗箱の被覆等苗の生育に合わせた温度管理や育苗箱施薬を徹底し健苗の育成に努める。
(2) 田植作業については、活着適温に配慮し、気温及び水温が十分上昇してから作業を行う。
(3)田植後の水稲では畦畔からの漏水の防止や、水温の保持に努め生育の促進を図るため浅水管理とすることを基本とするが、寒乾風を受けやすい圃場では葉身の損傷を防ぐため深水管理とする。
(4)いもち病の発生が懸念されるため、補植用の取り置き苗を水田に放置している場合は、伝染源となるため早めに本田から除去する。また、圃場観察に努め、発病を認めたら速やかに防除する。
2.野菜
(1)不織布など被覆資材のべたがけ等により気温・地温の確保を図る。
(2)加温設備のあるハウス施設等では、暖房機の不着火等による低温障害がないよう暖房機具の保守・点検・補修を行う。
(3)ハウスやトンネルなどの保温施設では、保温効率を高めるためハウスバンドの緩み、ビニールの破損や隙間などがないよう確認し、必要があれば補修等対策を講じて密閉度を高める。寒さが厳しい場合はカーテンや多層被覆などにより更なる保温対策に努める。
(4)育苗については、日中の気温差・湿度に注意し、換気などによるこまめな温度管理を行う。
(5)土壌が乾燥しているなど灌水の必要がある場合には、日中の温度が高い時間帯に行い、適湿を保つようにする。
(6)霜害を受けた場合は、液肥や葉面散布等により草勢回復を図るとともに、病害の防除を徹底する。
3.果樹
(1)土壌が乾燥している場合は、散水を行い適湿を保つ。散水は日中の温度が高い時間帯に行い、地中へ蓄熱させる。
(2)冷気の停滞する所では、防風垣の下枝を1m程度刈り上げ、風の流れを良くする。
(3)霜害発生後、被害を受けた新梢はその後の生育をみて、枯死した部分はせん除する。幼木等で被害が著しい場合は葉面散布を行う。
(4)幼果に霜害を受けた場合は、果実の状態を観察後、被害果の判定ができるようになってから摘果を実施する。
(5)低温により実止まりが悪い場合は、可能な限り着果させ樹勢を調整する。副芽や不定芽などから発生した徒長枝は整理し、翌年の結果枝・結果母枝として利用可能な枝は誘引する。
(6)結実量が少なく枝葉が過繁茂になりやすい樹には、結実量の減少や樹勢に応じて施肥量を減らす。
(7)病害虫の発生状況が例年と異なるため、発生状況を観察し防除を行う。
4.花き
(1)育苗期間中は被覆資材や加温機などを利用しながら適切な温度確保を図る。
(2)ハウス栽培の場合は、ビニール等の破損や隙間風がないか、暖房機や二重カーテンなどによる温度管理が十分できているかを点検する。
(3)土壌が乾燥しているなど灌水の必要がある場合には、日中の温度が高い時間帯に行い、適湿を保つようにする。
(4)病害の発生した場合には、速やかに防除を行う。
5.茶
(1)防霜ファンの稼動点検、設定温度確認や間接被覆(トンネル被覆)の活用を図る。
(2)一番茶芽に霜害が発生した場合には、一葉開葉未満の被害や葉先程度の軽い被害の場合は放任しておく、一葉開葉期以後で摘採生葉の中に霜害の被害芽が混入する恐れのある時は、すみやかに被害芽の部分せん除処理を行う。
(3)被害を受けた茶園で、摘採が大幅におくれる茶園は、追肥分の速効性窒素肥料を液肥での株元施用などで直ちに施肥する。
(4)被害を受けた茶園では、茶品質の低下を防ぐため、被害葉が混入しないように浅摘みを行う。新芽および再生芽の成育が不揃いになっている場合は、早い芽にあわせ摘み遅れに注意する。被害や成育遅れが部分的に発生している場合は、被害の無い部分の拾い摘みまたは部分摘採を行う。
(5)一番茶摘採後は、二番茶に遅れ芽が混入しないように、遅れ芽が出揃うのを待って浅く整枝する。遅れ芽が多い場合は摘採後2週間以内に2回目の整枝を行う。
(6)一番茶後の農薬散布に当たっては、周囲の摘採状況および二番茶芽の生育により使用時期に十分注意する。
6.畜産
1)家畜飼養管理対策
(1)畜舎のすきま風を防ぎ保温に努める。また日光が当たる側は可能であれば、側壁、 屋根の一部を日光が入る透明の「ポリカーボネート波板」に替える。
(2)敷き料は多めに行い、湿った敷き料は早めに搬出する。
(3)特に3カ月令までの子牛は敷き料を多くし、子牛房の一部に電熱球(豚用コルツヒーター、投光器など)を下げて保温や保温箱の作成設置など安全面には十分注意して保温対策を組み合わせる。
(4)子牛の防寒、下痢予防に「手作りベストや保温ジャケット、オーバー市販品」の使用も有効。
(5)分娩予定日が低温期にあたる母牛は、「昼間分娩法」を行い、朝6時から夜9時までに8割を分娩させる方法で深夜・夜明け分娩による事故を防止する。
「昼間分娩法」とは分娩2週間前から分娩するまで、1日分のエサを夕方1回のみに給与する。給水は自由、朝にエサが残っている場合は取り除く。
(6)畜舎はアンモニアなどの発生があるので換気等に努める。
2)飼料対策
(1)寒害時の刈り取りは避け、生育が回復してから行う。
(2)青刈りとうもろこし等の播種においては、降霜による被害が生じないように気温の動向をみて作業を実施するとともに、牧草収穫や放牧地への入牧は気象および牧草生育状況に応じて行う。